第7章 たとえばこんな幽霊奇譚~火神大我~
事態が急展開を迎えたのは、それから数日後だった。
彼女が消えたのだ。それも話をしている最中に。
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彼女を視た日から、火神と黒子の図書室へいく回数が増えた。黒子は図書室へは元々そこそこ通っていたが、火神と一緒の時以外彼女を見つける事はなかった。
レイ子さん(仮)と火神が話をする様子はなんというか幸せオーラに溢れていて見ているこっちがこそばゆい。
本人たちは気が付いていないだろうが、端から見ればお互い惹かれあっているのは一目瞭然である。
そしてそれをお互いに悟られないようにしているのも。
(ボク、どう考えてもお邪魔虫ですよね……)
だが相手が幽霊である以上、気軽に後はお二人末永く爆発してください、と茶化す事も出来ない。
せめてもう少しの間、束の間だとしても幸せな時間を過ごして欲しい。たとえ別れに涙する未来が待っているとしても、いや、だからこそ。
黒子はそっとため息をつき、2人の会話に耳を傾けるのだった。
ーまさか次の会話で事態が大きく動くとは、思っても見なかった。
「おー、こっから体育館見えるんだな」
「あぁ、そう言えばそうですね」
『あ、そうなんだよ、今日みたいに窓が開いてるとね、中も、』
「……どうしたんですか?」
急に眼を見開き言葉を切った彼女に疑問を投げ掛ける。
『わ、たし………』
「っオイ!?」
そうして彼女は忽然と姿を消した。
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