第5章 覇王樹に寄せる想い ~笠松幸男~
女子が苦手なゆきくんだが、小さい頃から一緒にいたお陰で私とは普通に接してくれる。でもそれは逆に、妹的な存在であるとも言える訳で。下手したら弟的ポジションかも。我ながらお世辞にも女の子らしいとは言えないし。
中学の時さつきや青峰がお互いの事を"コイツが恋愛対象?アリエナイ!!"と言っていたのを思い出す。私にとってはあり得たけど、ゆきくんにとっては違うんだろうな。
それにゆきくんは去年、自分のせいでIH初戦敗退したって自分を責めて責めて、バスケも辞めるんじゃないかと思った位沈んでいた時期があった。今年は最終学年に加え主将としてその雪辱を果たすんだって言って、よりバスケに集中している。
そんなときに、万が一でも私の想いを知られて困らせる訳にはいかない。100%フラレるって分かってるけど、今までのように話すら出来ないなんて無理過ぎる。
『黄瀬ハウス!!ゆきくんに要らん事言ったらネックハンギングツリー極めるからね!?』
「さんの身長でその技は無理でしょう」
『黒子位になら出来そうだけどね?』
冷静な突っ込みをする黒子に怒気を向ければ、彼はやれやれとため息をつき黄瀬を追い出す手助けに入った。
「遠慮します。黄瀬くん、ハウスです」
「俺の扱い雑過ぎねぇっスか!?」
黄瀬も仕事は本当のようで、珍しく粘らずに帰り支度をする。
「そーだっち、この練習試合で俺らが勝ったら海常に来ないッスか?」
『黒子にフられたからってこっちに嫌がらせしてくんな、散れ。むしろ散らすぞ』
「何を!?・・・あーもー、ホント分かってないなぁ。まぁ良いや、今日は退散するッスよ」
違ったやっぱり黄瀬だった。本当にソッチ疑惑流してやろうかあの黄色め。