第5章 覇王樹に寄せる想い ~笠松幸男~
『なっなにっ、言って・・・!!』
「真っ赤ですよさん」
「スゲー、あのが女子みてぇ」
『うっさい黒子にバ火神!!黄瀬、いらん事言うな男色疑惑広めるぞボケ!!』
「超理不尽ッス!!」
さっきまでの勢いはどこへやら、真っ赤になって捲し立てる始末。
そう、私はゆきくんが好きだ。幼馴染みとして出会った日からずっと。
中学は違ったから高校こそ一緒にしたいと思っていたが両親からの越境進学の許可が降りず、自宅から5分という好条件の誠凛を選んだ。
黄瀬を始めキセキの世代()と呼ばれた連中には散々何で誠凛だよと言われたが(へぇ、は洛山には来ないのかい、と呟いたヤツが一番恐ろしかった。逝くわけないだろ魔王め)、上記の通り理由は単純だ。
まさか黒子が居るとは思わず驚いたが、彼が他の強豪校に行かなかった理由も分かる。あの頃のあいつらのプレーには私だって思うところがあったし、バ火神と一緒にあいつら倒す、と決めたようだから私も出来る限りのサポートをしようと思う。
中でもゆきくんの居る海常を選んだ黄瀬については、見る目があることは認めるが羨ましいので特に捻り潰してやってほしい所である。