第1章 甘い毒にはご用心 ~黒子テツヤ~
進学先を尋ねてしまえば、居心地の良いこの関係の終わりを実感せざるを得ないと思い、どうしても聞くことが出来なかった。
黒子も私の進学先を聞いて来なかったので、まさかクラスメイト以下の認識かとちょっといやかなりショックだった覚えがある。
もう半ば自棄ぎみに、やっとバスケの神様とヨリを戻したんだねノロケをご馳走さまリア充爆ぜろ!と言うのが精一杯だった。
うん、今思い出しても我ながら可愛くない。
そういえばバレンタインとかも、友チョコが余ったから良かったら、とか素直さの欠片のない言葉を添えて渡したりしたっけ。
そうそう、誕生日も偶然知ったものの、本人から聞いたわけでもなく、微妙な関係の私が何か渡したり出来るか!!と泣く泣く見送ったものだ。
それだから、高校のクラス分けに黒子の名前を見つけて、しかも席が隣だと知った時の衝撃ったらなかった。
私がひっそり流した別離の涙を返せと半ば八つ当たりのような思いを抱きつつ、嬉しさにしばらく頬の弛みがおさまらなかった。
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まるで素直さの欠片もない中学時代に思いを馳せながら冒頭の言葉を掛けると、黒子は喋るのを中断してこてっと首をかしげた。
・・・可愛いなオイ。
これがもし計算だったら怖すぎるワロエナイ、と内心のみで突っ込みを入れたのは内緒だ。