第1章 甘い毒にはご用心 ~黒子テツヤ~
『黒子って結構毒舌だよねえ』
年が明けたと思ったらもう1ヶ月が終わろうとしている今日この日、目の前の透明バスケ少年の生誕を祝いマジバでバニラシェイクをおごり中。
席につくなりズゴーっとシェイクをすすり(律儀にご馳走になります、と一声かけてから飲む辺りが彼らしい)、一息ついた所で出るわ出るわ、火神くんへの罵詈雑言の嵐。
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中学1年で初めて同じクラスになり、部活動も委員会も違う黒子との接点といえば3年間同じクラスだった事くらい。
バカがつくくらいバスケが大好きで、バスケの神様につれなくされて立ち止まる事があっても、結局また追いかけるその姿に、恋をしたと自覚したのはいつだったか。
自覚したからといって、いや自覚したからこそ、とうとう中学3年間、クラスメイトという枠から飛び出す勇気は持てなかったのだけれども。
それこそバスケに恋をしていて、バスケに一途な彼にしてみても、私という存在はクラスメイトの中では良く喋る方だな、という程度の位置付けであっただろう。
それを考えれば、高校でまたしてもクラスメイトとして再会でき、こうして放課後一緒にマジバで無駄口を叩けるようになった今は、ようやくお互い友達のカテゴリに入れたかな、と思われて感慨深い。
キセキの世代という有名集団を有する帝光中学のバスケ部と決別した黒子が、高校でまたバスケしようと思います、と言ったのは、卒業式を間近に控えたある日の事だった。
私が受験した誠凛は新設校であり、バスケ部があるのかすら私は知らなかった。
都内には私でも知っているバスケの強豪校があり、自然と黒子もそういう学校を選んだのだろうと思っていた。