第20章 既に貴方に夢中です ~高尾和成~
私の詰問ともとれる強い追及に、最初は言い淀んでいた和くんも重い口を開いてくれた。
ポツポツと語られる内容を聞きながら、改めて和くんをそっと観察する。
そうすると和くんにキツい事を言ってしまった子の気持ちが分かるような気がした。
だって和くん、凄く格好良くなってる。昨日見た時より背も伸びて、ひょろっとしていた身体も健康的になっている。
眼力以外にも魅力的な要素が増えている。強すぎる魅力を包み込んで更により良く魅せているのだ。
そう、その強い眼に釣り合いが取れるような姿になっていると言ったら良いのだろうか。
加えて健在なコミュニケーション能力の高さ。
…これはモテる。
でも、失礼だけど元々がモヤシっ子だし、その変化をおもしろく思わない子や純粋に気に入らないという子もいるだろう。
多分下手をしたら、どんどん他の男子も敵に回しそう。そう思い、少し迷ったもののオブラートには包まずに思ったことをそのまま話す。
すると思い当たる節があるようだったから驚いた。
私が小学生の頃って、男子って調子に乗るだけ乗って自らを省みるなんて子は居なかったもの。
和くんってやっぱりきちんと考えて行動出来る子なんだな、ってまた感心してしまった。
それでも和くんが努力したのは事実だし、緑間くんの口癖を借りてフォローを口にすれば、やっとちょっと笑ってくれたのでホッとした。
それにしてもー。
『にしても和くん昨日の今日ででっかくなりすぎじゃない?一瞬誰かと思ったよ』
そう、だって昨日は胸の辺りだったもの、身長。それが今や顎先に頭がかかりそうな距離。
「え、だってオレ2年ぶりにサンの夢見てンだけど?今オレ小5、前会ったの小3。バスケ始めたら結構背が伸びたわー」
怪訝そうにする和くんにもう一度同じことを質問すれば返ってきたのは驚きの内容。2年も経ってるって…!!
そりゃおっきくなってるよね!でも夢の住人(しかも知らない子)が成長して出てくるなんてもう訳が分からない。
明日黒子くん辺りに聞いてみようかな、あ、でも朝練が…ってそうだ!!
早起きしないといけないんだ、部長に遅刻したら轢くわよって怖い念を押されてるもん…!!
そんな事を口から洩らしていれば、夢から覚める時の感覚に襲われた。