第2章 キミはヒーロー ~木吉鉄平~
当たり前のようにそばに居てくれた。
俺よりずっと小さな身体で、それでも俺を守ろうとしてくれた。
いや、今だって俺を守ろうとしてくれている。
それはまるで、いつでもどこでも駆けつけてくれる正義の味方。
「は、俺のヒーローだな、うん!」
出来上がったサラダを前にそう言えば、目をパチパチさせて怪訝そうな顔をしている彼女。
『え、えっ、何のこと?さすがに急過ぎて分かんないよ!?』
周りから天然だのなに考えてるんだか分からんだの言われる事の多い俺だが、は俺の言いたいことを大抵分かってくれる。
それでもさすがに俺が、サラダの手伝いから昔の事を思い出していたなんて思いもよらないようだ。
「ん?は本当に俺の事好きだなあって言う事だぞ?」
『・・・っぶっ』
付け足してそう言えば、彼女はもう真っ赤になっていた。
余程驚いたのか、危うくご飯の上に盛ろうとしていた親子丼の具材をこぼしそうになっている。
どうやら良い不意打ちが出来たようだ。
未だに挙動不審な彼女を尻目に、言い逃げとばかりに2人分のサラダと箸を居間に運ぶ。
すぐに親子丼と急須を載せたお盆を持って追いかけて来た彼女。
チラリと表情を見ると、わずかに唇を尖らせている。
からかい過ぎたようだ、こちらを上目遣いでにらんでくる彼女。