第2章 キミはヒーロー ~木吉鉄平~
本人は威嚇しているつもりのようだが、赤い顔でそんな仕草されても可愛いだけで、正直全く怖くない。
『ヒーローは、鉄平じゃん。誠凛の皆を守ってくれる正義の味方だよ。それこそさっき言った歌みたいに、自分の身体張ってるから心配なんだけど、でもバスケしてる鉄平カッコいいし・・・』
もうちょいからかってやろうかなんてとんでもない、盛大な反撃を食らってしまい、今度は俺が赤面する番だった。
ちょこんと俺の横に座ってうーだとかあーだとか言ってるを、無言でぎゅううっと抱き締める。
明日からは、WCに向けてまた過酷な練習が始まる。
大好きなバスケがもう出来なくなるかも知れない、そんな傷を抱えてのカムバック。
心配や不安がないわけではない。
だが、自分にはかけがえのない仲間が居る。
全てを出しきる事が出来れば、もうその後バスケが出来なくなっても悔いが残らないというくらい大切な彼ら。
そして戦い終わったら、がとびっきりの笑顔で迎え入れてくれるんだろう。
「・・・俺がヒーローなら、はヒーローが最後に帰る場所という事で、よろしくな?」
それだけで俺の言いたいことが分かったらしく、俺の胸元にあった顔を上げ、ちょっと困ったような顔をした後、それでも笑顔でこう言ってくれた。
『帰ってこれない位消耗したら迎えにいってあげるから、思う存分暴れて来てね』
もう、頑張れる気しかしない。もう一度彼女をぎゅうっと抱き締めて、キスを落とした。
その後、親子丼がすっかり冷めてしまい、究極の半熟具合がパアに・・・!と怒られたのは、別のお話。
fin →あとがき
--------------------------------------
(そう言えば、俺みたいな歌って何の歌?)
(困ってたら自分の顔を分けてくれる彼のマーチだよ)