第2章 キミはヒーロー ~木吉鉄平~
『お、ありがとー。じゃあそのレタスと、このキュウリとトマト使って適当に盛り付けしてくれる?』
しかし彼女はその大きなレタスを見ても、文句を言うどころか嬉しそうに目を細める。
前に一度、小さくちぎれ無いぞ、って言ったら、とんでもない殺し文句が降ってきた事がある。
『鉄平の大きな手でちぎったって分かって良いじゃん!私鉄平の手、大好きだもん!・・・っあっ・・・』
思わず口に出ていたらしく、その後真っ赤になるが可愛くて、色々と我慢できなかったのは記憶に新しい。
昔はコンプレックスだった大きな身体、大きな手。
思えばだけは、俺がバスケに出会うずっと前から、この手の良い所を一杯、一生懸命伝えようとしてくれていた。
クサッていたあのときの俺には届かず、どれだけを傷付けたんだろうか、と今さらながらに自分を不甲斐なく思う。
他のヤツがからかって来たら代わりに怒ってくれて、でもそれが気恥ずかしくて余計なお世話だって突っぱねた事もあった。