第17章 フェアリーテイルをご一緒に 赤司
(そうだ!元に戻る方法調べて貰わないと)
は急にニャニャッ、と鳴いて眼を丸くしてガバッと顔を上げた僕を見てちょっとビックリした様子だったが、すぐに声を上げて笑った。
『そうそう、赤司も驚いた時そんな顔するよ!オマエ程分かりやすくは無いけどな。ははっ、赤司がオマエ見たら驚くぞきっと』
表情の変化までバレていたのか…。嬉しいやら恥ずかしいやらで俯いてしまう。
『ん、どした?赤司は凄くいい奴だから安心しろよ?飼い主見っからなかったら赤司のマンションにでも行くか?それならオマエを理由に遊びにも行けるしな』
(おい、それは…)
なんだその発言。そんな事を言われたら期待してしまうじゃないか。僕の心境を反映するように、にゃぁ~と弱々しい鳴き声が漏れる。
抱っこする為にとタオルの上に移動させられ、あっさりタオルごと胸元に引き寄せられる。されるがままにしていれば、微かに甘い薫りが鼻腔を擽った。
ああ、彼女の側はこんなにも落ち着く。トクトクと規則正しく刻まれる心音に耳を傾けながらすっかり身を委ねれば、頭上でまた彼女が微笑う気配がした。
僕を抱いたまま手際よく片付けを済ませたはそのまま生徒会室の方へ向かった。
これで後は元に戻る方法を調べて貰って…戻れるよ、な?
生徒会室を目の前にして、今さらながら若干不安になり思わず顔を上げれば、ん?と言うように首を傾げる。
『どうした?やっぱり不安か?んー、じゃあホラ、元気が出るおまじないだよ』
そう言って僕に軽くキスをした。
チュッと音を立てて僕の唇(今は猫だけど)から離れたそれは思いの外柔らかくて、思考が停止した。
『はっ!?ちょ、赤司!?…え、ね、ねこは、あれ、えぇぇぇ!?』
ハッと我に返ればの顔が下にあり、彼女が生徒会室の壁を背もたれに尻餅をついているのだと分かる。
そして彼女の顔の横には僕の片腕が壁に肘をついた状態で置かれている。もう片方は床を支えるように伸びていて、どちらも慣れ親しんだ"人間の"僕の腕がそこにあった。