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Happy Days

第17章 フェアリーテイルをご一緒に 赤司


京都弁は耳に心地よい響きだが、グイグイ来られると興醒めだし勝手に遠ざけて憧れられるのもあまり居心地の良いものでは無い。

だがきっとのように僕をちゃんと同じ人間として接してくる女子の方が珍しいのだろう。桃井ですら僕には多少他人行儀だったのだから。


そんな事を考えながら威嚇を続けていれば、彼女達は荒々しくドアを締め退散していった。

幸い服や倒れた椅子に気が付いた様子はなくホッとした。

それにしても彼女達には"校内に猫がいる"と言う事態をどうにかする気は更々無いらしい。

だったらきっと放置はしないだろう。威嚇するような猫でも室内から穏便に出そうとするだろうし、慣れて擦り寄るような猫なら飼い主が見つかるまで面倒見る位はしそうだ。



どうしてこんな事態に陥ったのかはサッパリだが、きっとなら驚きはしても信じてくれるし、もとに戻れるよう協力してくれる筈だ。


そう確信し、付けっぱなしだったパソコンの前に座り、慎重に肉球でキーボードを押しwordで文章を作成する。


"赤司だ、何故か猫になってしまったようだ。済まないが助力を頼む"

マウスの扱いに思いの外時間を要した為、短い文章を作っただけで疲労感が襲う。

プリントアウトして紙をくわえる。牙ですぐに穴が空くが致し方ない。

時計を見れば既に自主練も終わっていそうな時間になっており、意を決して窓枠に飛びうつる。自然と尻尾が揺れバランスを取るように動くものだから、思わず笑ってしまった。

どうやら我ながら図太い神経をしているらしい。幸い生徒会室は1階の為、難なく地面へ着地する。

そうしての反応を思い浮かべては、ほんの少しワクワクしている自分を自覚しながら部室へと歩を進めたのだった。
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