第15章 眠るチカラ
『だめぇ~っ!!!!』
ユナは体中に力がみなぎり、男に飛び蹴りを炸裂させた。
男は首の骨が折れたのか、事切れた。
リリィに刺されたもう1人の男は起き上がり、逃げようとしていた。
ユナはナイフを拾い、素早い動きで男を切り裂いた。
『はぁ、はぁっはぁっ!』
ユナは体が重く感じ、膝をつく。
(何・・・体が変だ・・・)
それでも、リリィの所へ急ぐユナ。
『リリィ!』
リリィは切られた傷から出血が多い。
『・・・っ』
動脈を切られたのか、血が止まらない。
ユナは手と衣服をあてて止血しようとするが、赤い血だまりは広がっていくばかりだ。
『・・・そんなっ、リリィ、しっかりして!』
「・・・・・・・ユナ・・・・?」
『・・・っリリィ!』
「・・・・・・ずっと、親友、ね・・・・」
笑顔でそう言うと、リリィはユナの腕の中で目を閉じた。
ユナの唯一の親友は、目覚めることは、もうなかった。
翌年、ユナは開拓地をあとにして、訓練兵団へ入団した。
その瞳は、決意と悲しみを宿していた。