第19章 力の制御
リヴァイ side
ユナの部屋を訪れた俺はドアをノックした。
コンコン、
「・・・ユナ、俺だ。」
返事はない。
(まだ戻っていないのか?)
ドアノブに手をかけると、カチャッと動く扉。
(・・・鍵をかけていないのか、無用心にも程があるな)
俺は扉を開けて中に入る。
すると、ベッドにユナがスヤスヤと寝息を立てて眠っているのが見えた。
「おいおい・・・。鍵もかけずにベッドで寝て、誰かに襲われでもしたらどうするんだ。」
俺はユナに近づいて上から覆い被さる。
「例えば、俺とかにな・・・・。」
ベッドが軋んでも規則正しく胸は上下する。
「今日は疲れたか。」
ユナの髪をすいて額に口づける。
『ん・・・、』
ユナは少し身動ぎ、顔の横に置かれていた俺の腕に手が触れると、ギュッと俺の腕にしがみつく。
『んん・・・、』
その無意識の行動に、愛しさが込み上げる。
「ユナ・・・。」
そして、ふと、団長室でエルヴィンが言ったことを思い出す。
「どういうことだ、エルヴィン。」
突然のエルヴィンからの話に、俺は眉間に皺を寄せて睨みつけた。
「・・・お前は、ユナのことが大切なんだろう?壁外で命の危険や危ない目にあってほしくない、と。ならばある程度の戦士としての力は必要だ。ユナの実力を周囲の者達も認め、尚且つ、団長の私の護衛を兼ねた補佐官とすれば一兵士よりは待遇も良くなる。戦場での配置も最前線は免れる。どうだ?リヴァイ。」
エルヴィンは他にもユナの待遇や与える役職についても色々と提案してきた。
「ちょっと待て。・・・何か裏があるんじゃないのか。」
確かに、エルヴィンの話は俺にとって今よりは都合が良い話ではある。
だが、こいつが理由も何もなしにそんな話をしてくるはずがない。
「まぁ、まだ先の話だ。検討しておいてくれよ。」
エルヴィンは不敵な笑みで俺に背を向け、椅子に座り執務をこなし始めた。
「チッ・・・何を企んでやがる。」
俺はユナの髪を撫でる。
触れていて心地いいこの愛しい女の笑顔を、どうすれば守っていけるか・・・そればかり考えていた。
あどけない寝顔のユナに、俺はそっと口づけた。