第14章 新たな目的
宿舎に戻る道で、ユナはリリィに言った。
『さっきはごめんね。急に泣いたりして・・・。ちょっと、昔を思い出しちゃって。』
あははと明るく笑うユナに、リリィは
「無理に笑わない!泣きたい時は泣いていいんだよ。我慢は体に良くないよ。それに・・・その人を想って涙が出るんでしょ?謝ることじゃないよ!」
『・・・うん、ありがとう。』
ユナはリリィのその言葉に救われた気持ちだった。
リリィの言葉が嬉しくて、また涙が出そうになった。
すると、前から開拓地の兵士がやって来る。
「おい、お前達。最近ここらで盗賊による強盗が増えてきている。1人では外に出るな。それから水浴びは近場で済ませるように。」
そう言い、去って行く。
「でも、近場で水浴びは・・・男連中がのぞきに来るからイヤだよね~。」
『・・・そうだね。兵士がいるのに物騒、とか。ちゃんと仕事してほしいね。』
「あ、そうそう、それそれ!」
2人は宿舎へ戻る。
大部屋のベッドは、仕切りがあるためわからなかったが、ユナの下のベッドはリリィのベッドだった。
「友達」になってから発覚した事実に、それも「友達」になる運命だったのでは?と、後になってリリィが笑って言った。
そして、2人が「友達」になって1年が経とうとしている頃。
冬になり、ユナは熱を出した。
この開拓地の環境は、決して良いとは言えないものだ。
薄い毛布をかけ、ユナは寒さに震えていた。
(さ、寒い・・・・。息が苦しい・・・・)
ユナは夢を見た。
傍にいて、名前を呼んでくれた人。
手を握りしめてくれる人。
愛しい人・・・。
『・・・リヴァイ。』
朦朧とした意識の中、「幸せになれ」と言ってくれたリヴァイがユナの手に触れ、抱きしめてくれる夢をみた。
(あぁ、リヴァイの元に帰らなくちゃ・・・)
涙がユナの頬を伝う。
ようやくユナの体が回復したのは、10日も経ってからだった。
ユナは休んでいた分、自分のかわりに頑張ってくれていたリリィに感謝し、その分、朝から誰よりも早く起きて働いた。