第14章 新たな目的
開拓地に来て、「償い」のためにいつも黙々と仕事をしていたユナは、他者と関わりを持たないようにしていた。
誰にも迷惑をかけたくないと思っていた。
しかし、思いがけず「友達」が出来た。
それが、本当は嬉しかった。
リリィは飾らず気さくで、あっけらかんとしていて、話していても苦じゃなかった。
むしろ、リリィと接することで、少しずつ前の明るいユナに戻ってきていた。
2人とも18歳と年頃なのに、農作業で身なりはボロボロだった。
時々、作業が休みの日に川で体を拭いていた。
「あ、ユナってさ・・・いつも着けてるそのペンダント、親の形見か何か?」
リリィは川の水で髪の毛をすすいでいる。
『えっ・・・。』
タオルで顔を拭いていたユナは、言われて胸元のペンダントを握りしめる。
「大丈夫よ、取ったりしないから!」
カラカラと笑うリリィ。
『・・・これは、お守りみたいなもの。大切な人にもらった、大切なものなの。』
「へぇ~、・・・好きな人、とか?」
『っ!・・・』
あからさまな反応をするユナ。
「え、本当に?どんな人?どこの人?歳の差は?カッコいい?」
『えっえっ、・・・ちょっと待って!』
「赤くなって、可愛い奴よのぅ・・・」
リリィは両手をにぎにぎとしながらユナに近づき、後ろから抱きついてユナの胸を揉む。
『やぁっ!リ、リリィ、やめてよぉ~!』
「話しておくれよ~、恋の話♪」
ニヤニヤとリリィはユナの耳元で鼻息を荒くする。
『・・・え~っと、無愛想で不器用だけど優しくて、年上で、仲間思いで、とっても強くて、かっこいい人・・・かな。』
「ふふふっ!そうなんだぁ~♪そんなにユナがぞっこんなんて・・・・あれ?」
リリィは、ユナの肩が震えているのに気がついた。
見ると、ユナは両手で顔を覆い、ポロポロと零れる涙を必死に拭っていた。
『・・・っく、・・・・ひっ、・・・ご、ごめん・・・ぅ、』
「ううん。私こそ、ごめん・・・」
そのままリリィは、ユナを優しく抱きしめた。