第14章 新たな目的
着替えを済ませたユナは、食堂へ足を向ける。
食堂の扉を開けると、みんなそれぞれ席につき、食事をしている。
今日は色の薄いスープに、小さなパン。
いつもより質素だ。
いや、質素過ぎる。
ユナは空いている席に座り、パンを手に取って、黙々と食事を済ませる。
(スープ・・・朝によく作ったなぁ)
スープを飲み干し、席を立とうとした。
ガタッ
「ねえ、あなたよね?私に水をくれたのって。」
隣の席に、昼間の女子が座り、ユナに話し掛けてきた。
『あ、うん・・・。もう大丈夫?体。』
「あなたのおかげで大丈夫よ。本当に助かったわ。ありがとう!」
『そう、良かった・・・。じゃあ、明日も気をつけてね。』
ユナは席を立つ。
「あぁ!ちょっと待って?私はリリィよ。よろしくね。えっと・・・あなたの名前は?」
『・・・ユナ。』
「そう、ユナね。私達、歳は同じくらいよね?」
『・・・そう、かもね。』
「・・・ユナは、どうしてここへ来たの?私は親に捨てられたんだけどさ。て言うか、いつも黙々と仕事してるよね?」
『・・・。』
「あ、言いたくないならいいの。みんな事情はそれぞれだしね。」
『・・・罪ほろぼし。私に出来ることをしていくだけ。』
「罪?・・・何か、悪いことをしたの?」
『・・・そう、だね。大切な人達の大切なものを壊してしまったから、だから、償えるようなことがしたい。』
「そうなんだ・・・。ねえ、私達、友達にならない?」
『・・・友達?』
「そう。私、話せる友達が欲しかったんだ。私は私を捨てた親に必要とされなかったことが悲しくて、誰かに必要とされたくて・・・労働者って、必要でしょ?」
『・・・うん。でも、私が話せる友達なの?』
「そうよ!だって、私を助けてくれたじゃない。それだけで十分いい人だよ。」
リリィは笑ってユナに言った。
そこで初めて、ユナに「友達」が出来た。