第13章 罪
ユナ side
私は牢の中で、思ってもみない人物と対面した。
タイラーの父と行った病院で、私の診察をした医師だった。
『・・・先生?どうしてここへ・・・』
すると、先生は持っていた紙に目をやり、私を見る。
中央第一憲兵の腕章をした人達が数人、先生の横に並ぶ。
「半年前、この子の精密検査を担当した。先天性と思われる病気は、母親からの遺伝と考えられたため、私は遺伝子の解析を行った。昔、私が王都の専属研究者だった頃に王政より排除せよと言われた一族の遺伝子が、この子の遺伝子と合致した。これが結果だ。」
(え・・・遺伝子?何を言われたのかわからない・・・)
1人の憲兵が私の前に来る。
「つまり、お前は王政より排除せよと言われている一族だと言うことだ。」
「まさか、あのロードの娘が生きていたとはな。奴を始末してから家に行ったが、誰もいねぇし、ガキは強盗にあったか野犬にでも喰われちまったかと思ってたぜ。」
(・・・父さん)
『・・・父さんを、殺したの?・・・あなた達が?』
「そうだよ。世の中のために、俺達は仕事をしているんだぜ。かわいいお嬢さん?」
憲兵たちは笑って答える。
(父さん・・・ケニー!・・・あなた達が必死に私を逃がして生かそうとしたのに、私は、なんてことを・・・こんな奴らに捕まるなんて・・・・)
『・・・っう・・・・ふ・・・ひっ・・・くぅ、』
私は悔しくて、悲しくて、涙が止まらない。
「泣くなよぉ、もうすぐ父さんの所に送ってやるからよ。」
『うぅ・・・私も・・・・死ぬの・・?』
(殺されるの?父さんみたいに・・・)
そこへ、黙っていた医師が、
「いや、この子は殺さなくとも、死ぬだろう。病でな。ならば、今手をくださずとも良いのではないか?まだあどけなさの残る小娘じゃ。残りの短い人生を摘み取らんでもな。哀れでならない。」
私を見て、そう言った。
憲兵たちは、ざわざわと話し合っている。
「いや、やはりここで始末すべきだ。」
「そうかもしれないが、じきに病気で死ぬのがわかってるんなら、ほっとけばいいじゃねぇか。」
「まぁな、こんな小娘じゃ何もできねぇよ。」
などと言っている。
医師は私に小声で、
「・・・大丈夫、お前さんの病は診断のとおりじゃ。改善の余地はある。」
と言い、ウィンクをした。