第12章 願う幸せ
ユナ side
リヴァイは私の肩に薬を塗って、布を当て、包帯で痛めた所を固定してくれた。
『・・・ありがとう。』
腕を少し上げてみる。
(あ、楽になってる)
リヴァイの処置に感心していると、リヴァイはそっと私を腕の中に抱きしめた。
『・・・あ、』
「・・・ユナ、すまない。いつだって俺は、お前の幸せを願ってる。今回の件は・・・俺なりの考えなんだ。わかってほしい。」
『・・・わかってる。わかってるよ、リヴァイ。私のためを考えて決断したってことも・・・。ただ、リヴァイと離れてしまうことが、つらい。悲しい・・・。』
私はリヴァイの腕の中で、涙を流しながら、こらえていた気持ちを口にした。
『リヴァイの傍にいたい。』
リヴァイの手に力が入る。
『リヴァイに傍にいてほしい。』
「・・・ユナ・・・」
『それだけなの・・・』
しばらくリヴァイは何も言わずに、泣きじゃくる私を抱きしめてくれていた。
『・・・ごめんなさい、困らせた。』
泣き止んだ私は、リヴァイの腕からはなれようとした。
「ユナ・・・」
リヴァイは私の肩に唇を当てる。
肩から首筋、耳にも。
優しく手で私の頬に触れて、唇に口づける。
何度も優しく触れる。
ふと、私の瞳をのぞきこむように見るリヴァイ。
「俺の心は、お前の傍にある。俺の心はお前にくれてやる。お前は俺にぬくもりを置いて行け。そして・・・地上で幸せになれ。」
『リヴァイ・・・』
「愛してる、ユナ・・・」
私はリヴァイと体を重ねた。
これが今生の別れであると思って、必死にお互いを求めあった。
私はずっと、涙が止まらなかった。
こうして翌日には、私はタイラー氏の養女となり、養子縁組が成立した。
6年ぶりの地上は、とても眩しくて、目がくらんだ。
リヴァイとファーランとは、笑顔で『今までお世話になりました!』と言って、ノーマンさんの所で別れた。
リヴァイは相変わらずの無表情で、ファーランは涙ぐんでいた。
私も涙は我慢できなくて泣いてしまったけど、笑顔でいることを心掛けた。
『私も・・・リヴァイの幸せを願っているよ。』