第12章 願う幸せ
ユナ side
あれからリヴァイと私は、前のように話すことは出来なかった。
リヴァイは私の幸せのために考えて出した結論で、私のことが嫌いになったわけじゃない。
でも私は・・・私の幸せは、リヴァイやファーランと一緒にいることだと思っている。
幸せの内容は違うけど、同じく「幸せ」を願う結果だ。
『・・・はぁ、このまま逃げちゃおうかな。』
今日はファーランの仕事について来た。
私は少し離れた所で待つように言われて、ファーランのいる路地の反対側の陰になっている所にいた。
地上に出たら、どこぞのお嬢さんになるらしい私。
リヴァイが関わった訳だし、後から私が勝手に地下に戻ったりしたら、リヴァイの顔に泥をぬるようだ。
かと言って、里親になる人に迷惑は掛けられない。
『私の居場所はここなのに・・・』
路地にしゃがんでそう呟くと、私の前に人の影がかかった。
ファーランかと思いきや、知らない男が2人。
(またか・・・)
「かわいい顔してんなぁ。俺らと付き合えよ・・・いい思いさせてやるからよ。」
「そうそう、手取り足取り楽しませてやるからな。」
私に近づいて来る体格の良い男たち。
私は前を阻まれたので、後ろに下がって距離をとる。
狭い路地だから、相手が複数でも1人ずつかかってくる。
1人目の男がつかみかかってくるのをかわして、足を払うと私の後ろに前傾姿勢で顔から倒れていく。
2人目が飛びかかってくる。
私はひらりとジャンプして、男の頭に手を置いて身をひるがえし、男の背中に回し蹴りを入れた。
『よっ、と・・・。』
地面に着地すると2人とものびていた。
『・・・ん~、お嬢さんって感じじゃないなぁ、私。』
我ながら、苦笑いした・・・。
すると急に、私は後ろから腕をつかまれた。
『!?っ』
グイッと頭上に引っ張られて、足が地面に着かない・・・。
『!・・・あぁっ』
肩に痛みが走る。
3人目がいたのか、体格の良い男が、私が倒した男たちを見てからこちらに視線を向ける。
「お前がやったのか?」
『・・・っ』
私は何も答えず、肩の痛みに耐えていた。
尚も私は宙ぶらりんのままだ。
「おい。・・・まぁ、いいさ。俺がお前に声をかけろと言ったんだが、そうか、こいつらじゃ相手にならねえか!」
男は私に顔を近づけてくる。