第11章 離れる心
『リヴァイ、遅いね。』
ユナは窓の外を眺めていた。
「ははっ。ユナ、リヴァイがそんなに恋しいのか?」
からかうようにファーランが言う。
『!そ、そんなんじゃなくて・・・っ、ちょっと心配になったというか・・・。昨日、何か考え込んでる気がしたから。』
「・・・大丈夫だよ。超、が付く程の過保護なリヴァイがユナを養女になんてやるわけないよ。」
ファーランはユナの頭を撫でる。
(商人から直接話を聞いて、話の真偽を確かめに行くだけだって言ってたし)
リヴァイは、ファーランには行き先を話していた。
『うん・・・。そうだよね。だって、私がいなくなったら2人とも困るかもよ?それに男の人の2人暮らしなんて、むさ苦しそうだし。』
「あはは、それは嫌だな~!」
2人はいつものように笑って、変わらない日常を送っていた。
ガチャ
「お!おかえり、リヴァイ。」
『おかえりなさい!』
「・・・・・・・・・あぁ。」
リヴァイはユナの目の前までやって来る。
『?リヴァイ・・・?』
ユナはリヴァイを見上げて、首を傾げる。
「っ!・・・。ユナ、お前を養女に出す。ここから出るんだ。」
一瞬、リヴァイが何を言っているのか、ユナにもファーランにもわからなかった。
(・・・何を言っているの?)
呆然となり、声が出ないユナ。
「な、何を言ってるんだよ、リヴァイ!!自分が何を言ってるかわかってんのか?!」
突然のことに声を荒げるファーラン。
「あぁ・・・。わかっている。商人のノーマンと話はしてきた。」
リヴァイは淡々と話す。
「・・・ユナ、お前のためなんだ。お前の病気も地上の医療なら良くなるかもしれねぇ。お前はまだ若いし、地上で生活すれば、たくさんの可能性がある。こんな地下から出る良いチャンスなんだ。お前の幸せのためなんだ。」
リヴァイは拳を握りしめ、自分に言い聞かせるように言う。
「リヴァイ!!!」
ファーランはリヴァイの胸ぐらにつかみかかる。
「どうしてそうなるんだ。」
「・・・じゃあ、お前はユナが地上で暮らすより、このままこんな穴ぐらで生きていく方がいいとでも言うのか?」
ファーランは、何も言えなかった。