第10章 動き出す歯車
ずっと、子どもの頃から一緒だったリヴァイ。
兄妹のように思っていたけど、いつの間にか「男の人」として好きになっていた。
ドキドキするけど、嬉しくて、恥ずかしくて・・・そんな気持ちを自覚した私。
それでも、生活はいつもどおり。
私の作った食事を一緒に食べる。
私が片付けをしている間、リヴァイは仕事の書類に目を通す。
そのあと、掃除をする私に、ナイフの手入れをするリヴァイ。
ファーランと3人で紅茶を飲みながら会話をする。
・・・何も変わらない。
(良かった・・・いつもどおり)
ドキドキして、普段どおりにできなかったらどうしようかと、1人で勝手に不安になっていた私はほっとしていた。
そんな時、ファーランに仕事の仲間から情報が入った。
例の私を狙った男たちについての情報だった。
「あぁ、ありがとな。」
家の入り口で、何か紙切れのようなものを受け取るファーラン。
「・・・リヴァイ、奴らの情報。」
そう言って、紙をリヴァイに渡す。
リヴァイは無言で受け取り、内容に目を通すと眉間にシワを寄せた。
「チッ・・・。ユナ、向こうはお前を諦めないようだ。探す人手を増やしたようだぞ。これでますます、お前は家に缶詰め状態だな。」
『え・・・?どういうこと?』
「奴ら、ユナを探すために数人のゴロツキ連中を雇ってる。ユナ・スノーベルという女を探して連れて来たものに、多額の報酬を払うと言って声をかけてるみたいなんだ。」
ファーランが説明してくれる。
『・・・!何、それ。』
(やだ・・・、怖い)
ゾワッと鳥肌が立つ。
理由はわからないけど、私をどこかに連れて行こうとしていて、しかも複数の人数を雇って探すなんて、尋常じゃない。
「大丈夫だ。お前は俺たちで守る。」
リヴァイは私の頭に手を置いて、いつもより優しく私を見る。
『リヴァイ・・・。』
「そうだよ、ユナ!俺の情報網で、奴らの正体とユナを狙う目的をつかんだら、リヴァイがあいつらをこらしめるからさ!」
ファーランはそう私に明るく言って、ウインクする。
「こんなにユナを不安にさせたんだ、リヴァイがただじゃ済まさないだろ?」
ニヤニヤとファーランは意味深な視線をリヴァイに送る。
「・・・!てめぇ。」