第10章 動き出す歯車
「おい、ここ。長さが違うぞ。」
『え?』
どうやらリヴァイは私の襟足の髪の毛のことを言っている様子だった。
『あ、そうなの。自分で自分の襟足って難しくって・・・。』
(なんだ、びっくりした・・・)
「俺がそろえてやる。」
『え、リヴァイ?』
「動くな。危ねぇ。」
(う、動けない・・・!)
リヴァイの視線は、私の首元に注がれている。
それはそれで恥ずかしくなってきた。
だんだん赤くなっていく私の顔は、正面の鏡に映っている。
チョキチョキと首筋で音がする。
リヴァイは器用にハサミを動かしている。
(不思議な光景・・・)
私は赤い顔で、鏡越しに見えるリヴァイの真剣な表情に見とれていた。
すると、パチッと鏡越しにリヴァイと目が合った。
リヴァイはフッと笑って、「出来たぞ」と私に言う。
『あ、ありがとう・・・。』
真っ赤な顔でお礼を言った瞬間、
「礼はこれでいい。」
と、私の背後にいたリヴァイは、私の襟足にチュッと音を立てて唇を這わせた。
『っ!?・・・ん、やっ!』
体がビクンと跳ねて、声が出てしまった。
正面の鏡には、赤い顔をして涙目になっている私と、私を後ろから抱きしめて首筋に唇を寄せるリヴァイがいた。
リヴァイは鏡越しに私を見ている。
『・・・ん、リヴァイ・・・やめ、て・・・』
(ドキドキしすぎて・・・怖い)
「ん・・・ユナ・・・・」
リヴァイの腕が力強く私を抱きしめた。
私は体の向きを直されて、リヴァイと向かい合う。
そして、リヴァイの手が私の後頭部に伸びてきたかと思うと、私はリヴァイに引き寄せられた。
重なる唇。
力強くも優しく抱きしめる腕の中、私はただ、リヴァイにしがみついているしかなかった。
何度も重なる口づけは、角度を変えていく。
次第に吐息も漏れていく。
『・・・ん、・・・ふっ・・・んんぅ・・・』
「はっ・・・ユナ、口を開けろ。」
(え・・・?)
『な、何・・・んぁ、ん、・・・はぁ・・・っ』
「・・・いい子だ。」
私はリヴァイに翻弄されていく。
尚も続く口づけに、息が上がり涙が頬を伝う私を見て、ようやくリヴァイは唇を離してくれた。
『はぁ、はぁ・・・、はぁ、』
肩で息をする私は体に力が入らず、崩れ落ちそうになる。
リヴァイはそんな私を抱きとめた。