第10章 動き出す歯車
「あいつらに心当たりはないか?」
リヴァイは真剣な顔で聞く。
『うん・・・。ただ、ここ数日、誰かの視線を感じたり、あとをつけられたりしていて・・・』
「どうしてそれを早く言わない。」
「そうだよ、相談してくれたら、もっと早くに何か手が打てたかもしれないぜ?」
『だ、だから、リヴァイとファーランには帰ったら言おうと思ってたら、こうなっちゃったんだもん・・・ごめん。』
リヴァイとファーランに立て続けに言われて、しゅんとなる私。
「それにしても・・・どこかのクソ野郎が、お前を無傷で連れて来いと指示を出してるって訳だな。」
リヴァイは呟く。
「どういうことだろう、リヴァイ。」
ファーランも不思議そうに言う。
「ま、とりあえず・・・相手の狙いはお前だ。1人になるなよ、ユナ」
リヴァイは鋭い目付きで私に言った。
その後、家に帰った私達を待っていたのは、私を心配して泣きはらした子供たちだった。
次の日、ファーランは昨日の男たちの情報収集に出ていた。
私はリヴァイと2人で、紅茶を入れて飲んでいた。
久しぶりにパンケーキも焼いてみた。
『はい、リヴァイ。』
机で書類とにらめっこしているリヴァイの前に、紅茶とパンケーキを置いた。
パンケーキは甘さ控えめに作った。
「・・・悪くねぇな。」
これは「おいしい」ってことかな?
『ふふふっ。良かった!』
なんだかリヴァイがかわいくて、笑ってしまう。
「何かおかしいか?」
『え?だって、リヴァイがかわいいなって思ったんだもん。』
私が横に立ってそう言えば、リヴァイは急に立ち上がって、私をグイッと引き寄せた。
私は机に押し倒されて、目の前にはリヴァイと天井が映る。
『・・・へ?』
「俺がかわいい・・・か?どの辺がかわいいのか、教えてもらおうか・・・なぁ。」
リヴァイは顔を私の首筋に近づけて、耳元でしゃべる。
『ちょ、ちょっと、リヴァイどうしたの?・・・や、くすぐったいよ・・・。』
私は突然のことに、戸惑い、恥ずかしくなった。
(たぶん、今、顔が真っ赤だ・・・)
「かわいいんだろ。」
『か、かわいくないです!』
必死で言う私に、「フッ」と不敵な笑みをして、リヴァイは私を起こしてくれた。
私は真っ赤な顔のまま、急いでリヴァイから離れた。