第9章 想いの方向
ファーランside
ユナが出掛けてしばらくして、雨が降ってきた。
(やっぱりな・・・ユナ、大丈夫かな・・・)
心配したものの、よくある状況だ。
まだ明るい時間帯だし、雨宿りしながら帰って来るだろう。
そう思っていた。
しかし、夕方になっても戻って来ないユナ。
(やっぱり、少し心配になってきたな・・・)
迎えに行こうかと椅子から立ち上がったところに、リヴァイが帰って来た。
「おかえり、リヴァイ。」
「あぁ。・・・?どうした。」
俺は、リヴァイに買い物に出たユナがなかなか帰って来ないことを話した。
「っ!それはいつ頃の話だ。」
「昼過ぎだから、さすがに遅いと思って、探しに行こうかと思ってたんだ。」
俺が言うなり、リヴァイは勢い良く外に飛び出して行った。
残された俺も、ユナを探しにリヴァイの後を追った。
雨に打たれて、店までの道や路地裏など、検討をつけて探す。
(リヴァイの慌てよう・・・やっぱり俺もユナと一緒に行けば良かったんだ)
行きつけの店に行って買い物は済ませたようで、だいぶ前にユナは帰ったと店主が言う。
少し顔色が悪かったそうだ。
(疲れた顔をしてたし、やっぱり何かあったのか・・・?)
俺は不安になり、必死にユナを探した。
「・・・こっちじゃないのか?」
そう思って引き返し、いつもの通りに出ると、リヴァイがユナを抱いて走って来た。
「リヴァイ!」
リヴァイは俺を見ると、
「帰ってすぐに部屋をあたためろ!湯も沸かせ。」
リヴァイの腕の中では、雨で濡れたユナが、体を震わせて息を荒くしてぐったりとしていた。
状況を察した俺は、
「わかった!」
とリヴァイと共に家へと走る。
(・・・俺のせいだ!)
俺の心は、後悔と罪悪感でいっぱいだった。
その後は、リヴァイがユナの看病をするのを、部屋の外から手伝った。
俺は、ユナのことを何もわかってないんだと、情けなかった。
そして、リヴァイのユナを思う気持ちには敵わないんだろうなと・・・そう思った。