第9章 想いの方向
ファーランside
俺が、リヴァイとユナと一緒にいるようになったのは、3年くらい前。
たまたま受けた依頼で、リヴァイと組んだのがきっかけだった。
リヴァイはこの辺じゃ有名だったし、付き合っていくにつれて、あの独特な性格もわかってきた。
ま、要するに、一緒にいてもお互い苦じゃない相性だった訳だ。
当時は、リヴァイが妹のユナと住んでいるんだと思っていたけど、どうやら血の繋がりはないらしく、同じ境遇だったとだけ聞いている。
ユナは13歳の割には、とてもしっかりしていて、家事をこなしつつ、時々、リヴァイに体術の手ほどきをしてもらっていた。
女でも、ここじゃ力がなきゃ、生きていくのは大変だからな。
3年前のとある日、雪の降る寒い夜にリヴァイがユナの部屋に何度か入って行くのを見た。
そのあと数日、ユナは部屋から出て来なかった。
俺には「風邪だ。気にするな。」とだけ言い、リヴァイが食事を持って行ったり、看病をしている様子だった。
リヴァイはユナを家族として、大事にしていると感じた。
「リヴァイって、ユナに優しいよな。優しい兄貴っていうかさ。」
俺がそう言えば、
「・・・別に、そんなんじゃねぇ。あいつは、俺の知り合いから頼まれたから面倒みてるだけだ。」
なんて素っ気なく答えるリヴァイ。
・・・ツンデレだな(笑)
毎年、冬になると必ずユナはひどい風邪をひくようだ。
リヴァイは、ユナの看病を俺には手伝わせてくれない。
仲間なんだし、もう少し頼ってほしいと思う。
俺も・・・ユナを助けたい。
その日は、雨が降ってきそうな空で、寒かった。
リヴァイは仕事に行っていて、俺は依頼書類の整理、ユナは掃除をしていた。
『ふぅ・・・。ファーラン、ちょっと買い物に行って来るね。』
掃除を終えたユナは、疲れた顔をして、エプロンをはずしてコートを羽織る。
「これからか?・・・なんか雨降りそうだぞ?俺が行ってくるから休んでなよ。」
『ううん、すぐ帰って来るし、大丈夫。ファーランは仕事してて。』
書類を机に置いて、俺はそう提案したが、断られてしまった。
「そうか?気をつけてな。」
この時の事を、俺はあとで後悔した。