第8章 年頃
ユナside
ふと、前方に不思議な明るさのお店が目についた。
『リヴァイ、あれはなんのお店なの?』
「装飾品、だな。行ってみるか?」
『うん!』
私は、どんなものがあるのか楽しみで気分が上がった。
その時、私の視界の端を何かが掠めた。
どこかから迷い込んだであろう、1羽の鳥が遠くまで飛んでいく。
ぼんやりと上を見上げると、そこには空はなく、地下街の天井が暗く私達の頭上をどこまでも覆いつくしている。
ドンッと、誰かにぶつかってハッと我に返る。
『あれ?』
気がつくと、私はリヴァイから少し離れた所まで人に押し流されていた。
(いけない、はぐれちゃう!)
人が多いところで、ぼーっとしていた自分が悪い・・・
けど、体の小さな私は人を押しのけようとしても、リヴァイになかなか追いつけない。
『・・・リヴァイ!』
助けを求めるように、そう叫ぶと、リヴァイは振り向いて私を見つける。
すると、怒ったような焦ったような顔で、すぐに私の方にやって来た。
あっという間にリヴァイと私の距離はなくなり、リヴァイは私の手をつかむ。
「放すなよ。」
『うん。』
・・・すごく安心する。
私がケニーに連れられて来た時は、リヴァイは話してくれないし、目も合わせてくれなかった。
でも、不器用な人なんだって、わかってきた。
一緒にいて、彼の言葉や行動から感情がわかるようになるのが、なんだかとても嬉しかった。
だって、彼の言動からは、いつも優しさが見えるから。
・・・ちょっと子供っぽい所もあるけど(笑)
リヴァイが一緒にいてくれたから、今の私があるんだ。
私にとって、「家族」で「お兄ちゃん」みたいな存在。
かけがえのない、大切な大切な存在。
このまま、ずっと・・・一緒にいたいな・・・。
その後も、いろんなお店を見て、本当に楽しかった。
中でも、今まで見たこともない宝石や装飾品は、とにかく綺麗で、感動してしまった。
それに、かわいいペンダントもたくさんあって、思わず見入ってしまう。
(あ、この羽のペンダント、かわいい・・・。)
先程の鳥を思い出す。
(羽があったら、自由にどこへでも行けるのに)
なんて、考えていた。