第8章 年頃
ユナside
その後、帰る前に私はファーランや皆にお土産を買おうと、お店を見ていた。
珍しい食べ物や、子供達にはお菓子を選んでいたら、急に後ろからドンッと衝撃があった。
『?』
なんだろう?とそちらに目をやると、中年の男の人が自分の腕を押さえて私を上から睨み付けている。
「おい、どこに目をつけてんだ!」
・・・どうやら私に言っているらしい。
そして、私がぶつかってきたから怪我をしたということ。
責任を取って、中年男性の屋敷で手当てをしろ、ということを
言っているようだった。
私は、騒ぎにはしたくなかったので、ぶつかったことは謝った。
しかし、人をなめ回すように見る男性の視線が気持ち悪かったこともあり、つい、たしなめるようなことを言ってしまった。
怒った中年男性は拳を振り上げた。
(・・・怒らせちゃった)
振り下ろされる拳をかわそうとするが、近くで私の買い物が終わるのを待っていたリヴァイが、男性の腕を捻りあげた。
結局、私の出る幕はなく、リヴァイが解決してくれた。
『もう、リヴァイが出て来なくても大丈夫なのに。』
そう私が言うと、リヴァイに怒られた。
帰り道で、皆へのお土産を確認していると、リヴァイが私にお土産を買ったと言う。
小さな袋に入った、ちょっと軽いもの。
開けてみると、私が見入っていた羽のモチーフのペンダントだった。
「別に・・・お前に似合うと思ったから買った。」
と、リヴァイは私から視線を外して、少し照れているようにも見えた。
私は本当に嬉しくて、リヴァイにお礼を述べた。
さっそく、ペンダントをつけようと、私は両手を首の後ろに回す。
けど、なかなかうまくつけられない。
「貸せ。」
手間取っていると、リヴァイが私の後ろに立って、ペンダントをつけてくれた。
胸元に、キラッと優しく光る羽。
『どお?変じゃない?』
私は、リヴァイに向き直って聞いてみた。
「・・・っ!・・だから、似合うと思ったから買ったんだろ。」
リヴァイは、耳を赤くして、そっぽを向いて先に歩き出した。
『ありがとう♪』
人のほとんど通らない道を、私はリヴァイのマントをつかんで、はぐれないように家まで歩いた。
(私は、リヴァイが大好き・・・)
その想いが恋心に変わるのは、まだ少し先のこと。