第8章 年頃
ユナside
リヴァイと闇の市場の調査という仕事で、露店商を訪れていた私は、とてもわくわくしていた。
仕事をあまり任せてもらえない私は、リヴァイと同行なら良いという条件で、時々活動させてもらっている。
今日はその貴重な「仕事の日」だった。
リヴァイからは「仕事だと思わなくていい。ただの買い物客になってろ。その方が自然だ。」とのアドバイス。
考えてみたら、リヴァイと遠出なんてなかなかしないから、ちょっとした「お出掛け気分」でいる私。
地下街の奥の入りくんだ裏路地に露店は立ち並ぶ。
怪しいお店・・・。
ちょっと注意しながら歩くけど、どのお店も私には物珍しすぎて、見ているだけで、どれもこれも目を奪われてしまう。
(た、楽しい!)
珍しい食べ物、異国の服、薬草、宝石、武器などなど・・・
(あ、あれはヤバそうなモノかな・・・)
私はキョロキョロとあちこちを見て回った。
『色々あるなぁ。・・・世界は、広いんだね。』
私はそう小さく呟いた。
この地下街はほんの一部、地上にはもっともっと広い世界がある。
空がある。
私は父さん達と地上に住んでいたから、空を知っている。
でも、父さんが死んで、ケニーは私をここに連れて来た。
地下街なら、父さんを手にかけた奴らも私を追っては来ないだろうとケニーが言っていた。
そしてここでリヴァイと出会った。
ファーランや近所の子供達、仲間達。
今は「家族」のような存在が増えて、孤独ではない環境。
それなりに幸せだと思っている。
ただ、またいつか空が見たい。
自然の中で、風を感じたい。
自由な空の下で、子供の頃のように駆け回りたい。
そう、思うことがある。