第8章 年頃
リヴァイside
中年野郎は顔を真っ赤にさせて、体をワナワナと震えさせる。
「この女!調子に乗りやがって!」
逆上した男は、ユナめがけて拳を振り下ろす。
俺は、うしろから男の腕を捻りあげ、言った。
「お前こそ、どこに目をつけているんだ。このクソ野郎が。その汚い手でこいつに少しでも触れてみろ。その手を切り刻んでやる。手当てが必要なら、今俺がしてやる。多少は痛くても、クソをもらすんじゃあねぇぞ。」
男は何やら悲鳴をあげているが、どうでもいい。
『もう、リヴァイが出て来なくても大丈夫なのに・・・』
ユナは残念そうに言う。
「何が大丈夫だ。もう帰るぞ。買い物は済んだのか。」
いつの間にか紙袋を持ったユナは、買い物に満足したようだった。
俺が腕を捻りあげた野郎は、放すと何か叫んで逃げて行った。
あの程度の奴なら、ユナの身の軽さとすばやさがあれば余裕で相手にできるが、俺はおもしろくねぇ。
それに、いくら身軽でも力の真っ向勝負を挑まれたら、確実に敵わねぇしな。
自覚してるかわからねぇが、そこはユナも女なんだ・・・。
(まったく、おとなしくしてねぇな・・・)
ユナを見て、無事を確認して、元来た道を戻る俺達。
帰る途中で、ユナに何を買ったのか聞くと、近所の子供達やファーラン達へのお土産に食べ物を購入したらしい。
なんともユナらしい。
「俺も、みやげがある。」
『リヴァイも皆に?』
「・・・いや、これをお前に。」
『え、なぁに?・・・これ、あのお店にあったペンダント!どうして??』
「別に・・・お前に似合うと思ったから買った。」
『・・・ありがとう、リヴァイ。ずっとずっと、ず~っと、大切にするね。』
ユナは、瞳を潤ませながら手のひらの上のペンダントを見つめて、今日一番の微笑みを俺にくれた。
俺は、このユナの言葉と笑顔に、胸がいっぱいになった。