第8章 年頃
リヴァイside
ユナの手を握り、人の波を縫って歩く。
多少、人にぶつかっても俺はびくともしない。
俺の後ろなら、ユナも危なくはない。
ユナが見たいと言った店は、宝石や金銀細工、ガラス工芸品などが並ぶ、きらびやかな店だった。
(この中には本物そっくりなイミテーションや、マジにヤバい品もあるだろう)
この店は、特に怪しい様子はないようだ。
隣で嬉しそうに商品を眺めるユナの瞳は、この中で一番純粋で輝いて見えた。
すると、そのユナの視線が、ある一点でとまっていた。
視線を辿ると、金色の羽のモチーフのペンダントがあった。
じっと、そのペンダントを見ていたユナだが、俺の視線に気付いて、
『どの品物も綺麗だね。ここに来なかったら、一生見られなかったかも!リヴァイのおかげだね。』
と微笑んだ。
(・・・お前が喜ぶなら、どこにだって連れて行ってやるさ)
ユナといると、気持ちが落ち着く。
本当に不思議だ。
俺はユナが他の品を見ている隙に、あの金色のペンダントを買った。
露店商を半分程見て回った頃、とある店先に、異様な殺気を放つ男と、その男の隣に店主と話す小太りの男がいる光景を目にした。
(・・・ここ、か。)
俺はユナと客に紛れて店内に入り、会話を盗み聞いた。
欲しかった情報も得られたところで、そろそろ帰る頃合いだ。
ユナは珍しい店をもう一軒見たいと、俺の目の前の店で何やら熱心に物色していた。
「たまには買い物も悪くないな。」
楽しそうなユナの姿は、俺の心を穏やかにする。
そこに、
「おい、どこに目をつけてんだ!」
と、中年の男が手を押さえてユナの前に立っていた。
「お前がぶつかってきたから見ろ!俺の手が傷ついちまったじゃねぇか!・・・責任を取ってお前が手当てしろ。俺の屋敷でな。」
いやらしい目付きでユナを見ている。
1人でいたから、連れはいないと思われたんだろう。
『・・・私がぶつかったことは謝ります。けれど、こんなに人で溢れかえった所で人とぶつからない訳にはいかないと思いませんか?よっぽど注意して歩くことをおすすめしますよ?』
言い返すユナ。