第7章 絆
ケニーが姿を見せなくなって数日後、深夜に雪が降った。
翌朝、ユナは部屋から出て来なかった。
食事の用意をする音もなく、静まり返った家。
リヴァイはヒヤッとした空気を感じて目を覚ますと、窓から外を見た。
うっすらと雪が積もり、はらはらと空からは雪が舞っていた。
着替えてダイニングに向かったリヴァイは、ユナがまだ起きて来ていないことに気がついた。
今朝は寒い。
そのため多少の朝寝坊は仕方ない。
元々、2人の生活に決まりなんてものは存在しなかったのだから。
リヴァイは、久しぶりの1人の朝に少し物足りなさを感じていた。
ガタッ
ドサッ
「!」
ユナの部屋から大きな音がした。
なんとなく予感がして、リヴァイはユナの部屋ドアの前に向かう。
「おい、どうした。・・・返事をしろ。起きているのか?」
返事は返ってこないが、小さなうめき声がした。
「入るぞ。」
ガチャ
リヴァイが入ると、床にうつ伏せに倒れているユナが、呼吸を荒くして苦しそうな表情をしていた。
「!おい、ユナ!しっかりしろ。」
リヴァイはユナに駆け寄り、抱き起こしてベッドに寝かせる。
ユナの身体は信じられないくらいに熱く、汗もびっしょりかいているが、ガタガタと寒さに震えていた。
(ケニーが言ってたやつか・・・)
枕元にあったタオルで軽く汗を拭き、布団を掛け直す。
そして、洗面器に水と外の雪を入れ、濡らしたタオルを持って来てユナの額にあてる。
それでも寒そうに身体を震わせているユナに、自分の部屋の毛布も持って来て掛ける。
「重いかもしれねぇが、寒いよりマシだろ。」
そこでユナが目を覚ました。
『・・・リヴァイ・・・。ごめんなさい。わ、わたし、め、めいわくかけて・・・。』
苦しそうに呼吸を荒くさせて、そう訴えたユナに内心ほっとしていた。
「病人はおとなしく寝てろ。」
そう言って、リヴァイはユナの頭をなでる。
また目を閉じたユナの身体は震えが落ち着いた様にも見えた。
リヴァイは、何かあったかいものを用意しようとダイニングに戻った。