第7章 絆
リヴァイは、マグカップにあったかいココアを作って持って来た。
ユナの枕元にそっと置く。
(俺がいなかったら、どうなっていたんだ)
おでこのタオルを直し、リヴァイは毛布から出ていたユナの手を布団の中にしまおうとした。
すると、
『・・・父さん・・・。』
ユナは、荒い呼吸に苦痛の表情をしながらも目尻には涙の雫を大きく震わせていた。
「・・・・・・。」
リヴァイはユナの手をそのまま握りしめた。
ユナも無意識だろうか、リヴァイの手を握り返す。
しばらくして、ユナの呼吸は落ち着きを見せた。
(少し、落ち着いたのか・・・?)
リヴァイは、もう片方の手で、ユナの目元の涙を拭った。
それから翌日には、ユナは身体を起こせるようになり、3日目にはリヴァイの作ったご飯を食べられるようになった。
『リヴァイ、迷惑をかけてしまって、本当にごめんなさい!』
回復してきたユナは、体が動けるようになると、すぐに家のことをし始めた。
リヴァイはそれを見つけると、ユナの腕を引いてベッドに押さえつけた。
「お前は・・・まだ全快してねぇんだから休んでいろ。せっかく俺が世話してやったんだ。こうなりゃ、とことん治るまで面倒見てやるぜ。」
と無理をするユナに睨みをきかせる。
『もう大丈夫だよ。』
ベッドに寝かされ、毛布を掛けられるユナの顔色は青白い。
「・・・まだ血色が悪い。それに、ふらついてる。寝てろ。」
リヴァイは表情は変えずに、しかし優しい口調でユナに話す。
『ありがとう・・・リヴァイ。』
「あぁ。」
こうして2人は、最初の冬を越えた。
それからも毎年、ユナの看病はリヴァイがしている。
自らの母親もまた、病床に伏せて最期を迎えたこともあり、リヴァイは病に苦しむユナを、母親と重ねて見たのかもしれない。