第7章 絆
季節は巡り、冬。
体の弱かった母が亡くなったこの時期になると、ユナは慎重になった。
毎年、冬に2~3日高熱と呼吸機能の低下が起こる体質は変わらずだが、幼い頃よりはいくらかは状態は良くなっていた。
それでも不自由には変わりなかったが、その変化が体を鍛え出したからなのか、体の成長と関係しているのかはわからなかった。
5年前。
まだここに来て1年目の冬。
ユナは毎朝早くに起きて朝食の支度をする。
リヴァイとは性格は正反対だか、少しずつ打ち解けていっていた。
無愛想で言葉もキツいが、ふとした時に助けてくれる。
『・・・本当は、優しい?』
最近そう思えてきたユナは、リヴァイの新たな一面が知ることができると楽しくなってきていた。
ケニーは気付いたら姿が見えなくなり、しばらく経つと、ひょっこり現れる。
「俺がいなくて寂しかったか?お前ら。」
と手土産にくだものやパンや新しい服などをくれた。
『わぁ、ケニーありがとう!』
「クソうるせー奴がいなくてせいせいしてたんだが、またそのクソみてぇな面を見せに来るとはな。」
ケニーの持ってきたくだものの中からリンゴを取ってかじりながら、リヴァイは飄々としている。
「お前・・・少しはしゃべるようなったじゃねぇか。何か?かわいい妹が出来てはしゃいでんじゃねぇのか?あ?」
ニヤニヤとケニーはリヴァイをからかう。
「!・・・ごちゃごちゃ言ってねぇで、さっさと消えろ!クソ野郎。」
リヴァイは部屋に戻って行く。
『ケニー、リヴァイを怒らせちゃダメだよ。』
そう言ったユナが、昔ロードが生きていた頃に夜に泊まり掛けで酒を飲んだ日の会話と重なった。
(『飲み過ぎちゃだめだよ』・・・か)
ふっと懐かしさがケニーの胸をよぎる。
「そう言や、お前・・・体の方は大丈夫なのか?」
ロードに聞いていたユナの体について、そろそろ寒くなってきただけに気掛かりだった。
『・・・!うん、今のところは大丈夫だよ。ちゃんと気をつけてるし。寒くないようにあったかくして寝てるし。』
どこか空元気にユナは言った。
「無理すんなよ。」
ケニーはユナの頭をなでた。