第1章 大好きな家族
「ただいま」
『あ、父さん おかえりなさい!』
私が夕飯のスープの鍋の火をとめると同時に、父さんが帰って来る。
『今日は早かったね!ちょうど出来たとこだったの。』
そう言う私の頭を、父さんは優しく撫でながら
「おっ!また今日もおいしそうだなぁ。ユナ、いつもありがとうな。」
と言ったあと、私を抱き上げて嬉しそうに笑う。
仕事から帰って来ると、いつもこうして抱っこしてくれて笑顔を向けてくれる。
だから私は父さんが大好き。
「そうだ。今日はお土産があるんだ。」
と父さんは私をおろしてから、持って帰って来た袋をテーブルに置いて言う。
見ると、中にはパンやリンゴ、お芋と言った食糧の他に一番上に小さな紙袋があった。
『?』
私はその紙袋を手に取り、中を開けてみた。
(なんだか甘いにおいがする)
よく見るとチョコレートやキャンディー、白くてプニプニした物体が入っていた。
『わぁ!父さん、これチョコレート?あ、キャンディーもある!あと・・・これは?この白くて柔らかいのは何?』
「それはマシュマロというお菓子だそうだよ。珍しいものだったから、ユナに食べさせたくてな。」
父さんは、にこにこしながら私に話す。
「いつも家のことを頑張ってくれているから、たまにはご褒美だよ。」
『ありがとう!父さん!!』
私は父さんのおなかに抱きついた。
時々、父さんは食糧を買って来てくれて、そのついでに私に貴重な[お土産]をくれることがある。
父さんがどんな仕事をしているか私はわからないけど、いつも笑顔で私のことを大事にしてくれている父さんのことが大好きだった。