第6章 守る術
その頃、リヴァイは息を切らしながら路地を走っていた。
「クソっ!どこまで行った?!」
テーブルの上にあった紙に
[リヴァイへ
買い物に行って来ます。 ユナ ]
(1人でうろつくなんて、何考えてんだ)
首に汗がつたう。
いつもの店に1人で向かったであろうユナを追って、リヴァイは心の中で後悔した。
近くのゴロツキ達と子供達の集団でいざこざがあり、揉め事に巻き込まれていた。
(俺がいないところで・・・あいつに何かあったら・・・!)
体術の特訓を始めたといっても、まだまだ初歩の初歩だ。
しかも、大人相手になんて意味のない抵抗だ。
目的の店の前の路地に、見たことのあるコートが落ちている。
「これは・・・」
ユナのものだと確信したリヴァイの耳に、小さな悲鳴が聞こえた。
「!・・・こっちか。」
リヴァイは暗い路地裏へ、小さな声を頼りに走り出した。
『やめて!はなして!・・・誰か、助けて!!』
ユナは腕を男につかまれたまま、暗い倉庫の中に引きずられていく。
「お嬢ちゃん、大丈夫だよ~。かわいがってあげるからね。」
ニヤニヤと笑みを向けて、男はユナの肩に手を置いた。
『いや・・・』
ユナは恐怖で体が震えて動かせない。
すると、突如、ナイフの光が目の端に映ったかと思うと、男は悲鳴を上げて腕をおさえている。
男の腕からは血がしたたり落ち、痛みに顔を歪めている。
その場にしゃがみ込むユナの前には、リヴァイが立っていた。
『・・・リヴァイ・・・!』
「そのクソみてぇな汚ねぇ手で、こいつに触るな。・・・殺すぞ。」
リヴァイは男にナイフを向け、睨み付けた。
男はリヴァイのただならぬ眼光に怯み、逃げて行く。
呆然としているユナの肩に、リヴァイはコートを掛けた。
「大丈夫か?何もされてないか?どこか怪我はないか?」
と、自身もユナの前にしゃがみ、肩に触れて顔をのぞきこんだ。
『・・・リヴァイ、怖かった・・・!』
ユナはポロポロと涙を溢れさせて、肩を震わせ泣いた。
「あぁ、悪かった。」
リヴァイはユナの頭を撫でた。