第19章 力の制御
リヴァイ side
ユナが俺の指示した訓練メニューを終わらせ報告に来た。
どこか疲れたような、いつもと違った笑みで俺とハンジを見ていた。
俺は今日は初日だったこともあり、早目に切り上げて片付けをして休むように言う。
「続きは、また明日だ。」
いつもの癖で俺はユナの頭を撫でる。
ユナは戸惑ったような顔をしていた。
こいつは2人きりの時以外は、俺のことを「兵士長」や「兵長」呼びにする。
俺は距離を感じてあまり良い気はしないが、兵団では上司と新兵という立ち位置だ。
ユナなりのけじめなのだろう。
俺は、ハンジと共に今日の報告をしにエルヴィンの元へ向かった。
コンコンコン、
「エルヴィン、入るよ!」
「・・・ハンジか、入れ。」
「今日からリヴァイの指導が始まったんだけどさ!やっぱりユナはセンスがあるよ。リヴァイからの助言を素直に実行できちゃうんだもん。本当に、彼女の才能には恐れ入るよ。まるで入団当時のリヴァイを見ているようだったよ!粗削りだけど、動きはいいし、期待して大丈夫だよ、エルヴィン!」
「そうか、それは良かったな、ハンジ。だが・・・そちらは浮かない顔だな、リヴァイ。」
ハンジの話を眉間に皺を寄せて聞いていた俺は、エルヴィンを睨み付ける。
「大切な女を戦場に送るために稽古をつけるなんて、誰が好き好んでやるか。」
「ははは・・・。結果的にそれは互いに共に生きるため、だろう?」
「・・・チッ。」
「まあまあ2人共、今はユナの成長を見守っていこうよ!そうすれば、彼女の力のコントロールの秘密がわかるかもしれないじゃないかぁ~!あぁ~、楽しみだなぁ~!!」
「はぁ、出たな奇行種。」
「ハンジ、自分の隊の方はまだ終わってないんじゃないか? いいのか?」
涼しい顔で言うエルヴィン。
「あぁ!そうだった!なんだ、普通にリヴァイと一緒に団長室まで来ちゃったじゃん!戻るね~!」
バタバタと忙しなく訓練場へと戻るハンジ。
2人になった所でエルヴィンが開口した。
「・・・リヴァイ。ユナが大切だと言うのなら・・・俺に彼女を預けてみないか?」
「は?」
「お前が彼女を一人前の戦士に育て上げた暁には、ユナ・スノーベルを私付きの補佐官としたい。」