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大切な物をタイセツに【進撃の巨人】

第19章 力の制御


ユナ side

『私、何やってるんだろ・・・しっかりしなくちゃね。』

どうにか笑顔を作って、空を見上げて自分に言い聞かせる。

とは言っても、心の中にある感情はごちゃごちゃだった。

念願のリヴァイに会えたことは本当に嬉しい。

しかし、リヴァイに会えたからと言って、昔のように暮らせる訳じゃないのはわかっていたことだ。

調査兵団のリヴァイは私の知らないリヴァイで、ここでは「兵士長」なのだから、一緒にいることにも気を使ってしまう。

わかっていたことなのに、とても距離を感じる。

これまで胸の底にしまっていた感情が少しずつ溢れだしてしまいそうだ。

リヴァイとのつらかった別れや、その後に降りかかった悲しい出来事・・・リヴァイに会いたい一心で訓練兵団で厳しい鍛練の日々を送ったことも、リヴァイに会えればそれが報われると心のどこかで思っていた。

でも、私は満足出来ていないのだ。

(いつも一緒にいたいなんて、すごくわがまま・・・)

自分の独占欲に恐ろしくなってしまう。


リヴァイにはリヴァイの、調査兵団に入った理由がある。

私は彼の邪魔をしたくない。

それに、リヴァイが指導している私が成果を上げなければ、リヴァイに面目も立たない。

兵士長としての彼の足を引っ張ることもしたくない。


調査兵団に入ってリヴァイと共に生きる道を選んだのだから、この距離感や周りにも慣れないと、とは思っていたが、なかなか私には難しいことのようだった。

思えば、リヴァイはよく私に触れて来る。

時には周りに人がいても堂々と。

結構、周りは騒がしいことが多かったし、コソコソと陰で言われているのも耳に入っていた。

『・・・兵士長、か。立場的には上司だよね。・・・そりゃ不釣り合いかな。』

自分で言って、落ち込む。

(まずは強くなる!リヴァイを追いかけなきゃ!)



私は、リヴァイに会えてもリヴァイとの距離が遠くて、いまだに彼に手を伸ばして追いかけている。

しかし、追いついたと思って抱きしめられても、目が覚めると彼はまた遠くにいるような、そんな不安をいつも抱えていた。



『リヴァイ兵長、お話中にすみません。一通り終わりました。』

私はハンジさんと話しているリヴァイに声を掛けた。

「終わったか、なら今日はもう仕舞いだ。今日は初日だ。疲れたろう。片付けて休め。」
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