第19章 力の制御
ユナ side
リヴァイからの指導が「特別」だということ。
他の先輩達を差し置いて自分が選ばれたこと。
まわりから見たら、なぜ私がという風に思うだろう。
この機会を与えてくださったエルヴィン団長にも、理解して応援してくれたハンジさんにも、貴重な時間を私の指導にあたってくれるリヴァイにも、恥じることのないように訓練に励みたい。
まわりには、そういう姿勢を見せていくことで認めてもらうしかない。
(頑張ろう)
私はリヴァイからのアドバイスを受けて、ガスの調整やブレードの振り方など、考えながら体を動かしていた。
(回転をつけて勢いを増せば、その分の反動でパワーに繋がる・・・か、なるほど)
『よし・・・。』
私は何度もアンカーを射出して、空に飛び上がる。
額に、首筋に汗が伝う。
もっと、もっともっと速く。
もっと強くならなきゃ。
訓練兵団にいた頃、私は時間外にも鍛練に励んだ。
自分を限界まで追い込み、いじめ抜いた。
自分の望みに貪欲に行動した。
【調査兵団に入って、リヴァイに会いたい】
それが当時の私の目的。
【リヴァイと共に生きるために、強くなりたい】
それが今の目的。
そのためには、私はどんなことにも耐えてみせる。
壁外調査で巨人を駆逐して兵士の犠牲を減らすことも、リヴァイのためになる。
リヴァイは口は悪いけど優しいから、仲間が傷つくことが本当はつらいんだ。
決して言葉にも表情にも出さないけど、昔からそんな人だった。
だから、私はリヴァイのすべてを守りたい。
指示された課程を終えたのでリヴァイを探していると、ハンジさんと雑談している姿が見えた。
『・・・・。』
(リヴァイとハンジさんは付き合いも長いし、一緒にいてもまわりから何も言われないんだよね・・・いいなぁ)
『私だって、ずっと一緒にいたのにな・・・。』
なんだか変な気持ちだ。
モヤモヤとして胸が痛い。
ふつふつと熱いものが胸に眉間に込み上げてきた。
『・・・っ!集中!!』パンッパンッ
私は自分の両頬を思い切り叩いた。
(~っ痛・・・)
あまりの痛みにしゃがみこむ情けない私。
目尻に涙が滲む。
リヴァイにやっと会えた嬉しさが大きくて、それまでの寂しさや悲しさ、切なさを忘れていたけど、その感情がまた私の胸に押し寄せてきていた。