第19章 力の制御
ユナ side
いよいよ今日から私の訓練をリヴァイが指導してくれる。
昔、地下街にいた頃にリヴァイに体術や剣術を教えてもらって以来だ。
今のリヴァイは調査兵団の兵士長としての実力に伴い、名声もある程の戦士だ。
幼い頃から一緒に育った間柄とは言え、私がそんなすごい人に指導を受けるなんて、贅沢なことなのだ。
しっかり頑張らないと、呆れさせたくないし、期待に応えたい。
私は兵団服のベルトをしめながら、気合いを入れた。
最初はもともとのハンジ班のメンバーで集まり通常の訓練をして、立体機動と体術の訓練ではリヴァイが見てくれることになっていた。
ハンジさんが私の立体機動や体術の訓練をリヴァイが指導する旨を他の隊員に説明すると、やはりザワザワと声が上がる。
「え、リヴァイ兵長が個別指導?あの子だけ?特別扱いじゃない?」
「いや・・・この間の壁外調査での彼女の動きはすごかった。兵長が直々に指導すれば、もっとすごい兵士になるんじゃないか?」
「私だって兵長に指導してもらいたいのに・・・。」
「どうせ、リヴァイ兵長のお気に入りなんだろ。うまく取り入ったもんだよな。」
色々な声が聞こえる。
『・・・。』
(そうだよね、当然の反応だよ)
いきなりポッと出の新兵が、一度の功績を上げたくらいで特別扱いされているようにも思える。
自分を客観的に捉えて、そう思っていた。
(でも、だからこそ認めてもらえるように頑張らなきゃ・・・)
私は改めて自分の置かれている立場を痛感し、そして覚悟を決めた。
「皆それぞれ思う所はあるだろうが、これは団長直々の指示だ。」
ハンジさんが私のフォローをしてくれたようだった。
すると、
「団長の?・・・まぁ、確かに強くなれば戦力も上がるし、期待されて当然か。」
「今は、兵団としても戦力がほしいわけよね・・・」
ちらほら聞こえる声。
「さぁ!各自鍛練に励んでくれよ!」
ハンジさんは元気良く声を上げた。
それを合図に隊員達はそれぞれ訓練場へ向かった。
「ユナ、気にしないで。君は君らしく頑張ればいいんだよ。」
ポンと私の肩に手を置き、ハンジさんが私に声を掛けてくれる。
『はい。ありがとうございます。兵団の期待に応えられるように、しっかりと頑張ります。』
私は、ハンジさんが気にかけてくれた事が嬉しかった。