第19章 力の制御
その頃、団長室にハンジが来ていた。
「エルヴィン、明日からリヴァイ指導のもとでユナが訓練を受けるけど・・・私も少し見学したいと思っているんだ。ユナの体質や力のコントロールについて、ちゃんと見て知っておきたい。今後また何が起こるかわからないからね。」
「わかった。許可する。・・・あまりあの2人がいちゃつかないように見張っておいてくれよ。」
エルヴィンは笑いを含みながらハンジに言った。
「はははっ。まぁ、一番の目的はユナの力について興味があるんだけどね!彼女の力のコントロールって何?潜在能力を自分で引き出せるってこと?じゃあ、もしかしたら鍛練次第では誰にでも出来るかもしれないよね?!・・・色々と調べてみたいと思うだろ~う?!」
またも鼻息を荒くするハンジ。
するとエルヴィンは、
「確かにな。それに彼女は・・・。リヴァイにとって強みにも弱味にもなる。兵団としてはそれを利用させてもらう。」
と冷静に言う。
それまで嬉々としていたハンジは真顔になり、
「エルヴィン、それはどういうこと?あの2人に何かするってことかい?」
「いや、直接的な何かをする訳ではない。ただ、やはり戦力として十分に活躍してもらわねばと思っているよ。今回のリヴァイが訓練の指導にあたることもそうだが、ユナをもっと育て上げていく必要がある。ユナをリヴァイやミケに次ぐ戦士にすることは、兵団にはメリットだ。それに大切な互いのためにと、力を尽くしてくれるだろう。もし、デメリットがあるとすれば、彼女の存在がなくなった時のリヴァイだな。それは弱味でもある。彼女をずっと、我が兵団に縛りつけておけるなら、それはそれで良いのだがな。」
「エルヴィン・・・。それは、ユナに自由はないって言っているように聞こえるけど?」
「そうだ。」
「・・・リヴァイを縛るための人質、って所かな?」
「そうだな。」
「はぁ・・・、恐ろしいことをサラッと言ってくれるよ。それで本当にいいのかい?エルヴィン。兵団のために大事な友人をも駒のように「兵器」として扱うなんて、良心が痛まない?」
「・・・友人、か。」
エルヴィンは自嘲気味に笑う。
「俺は身勝手な人間だ。こんな俺には、リヴァイを友と呼ぶ資格はないだろう・・・向こうもどう思っているかは分からんがな。」