第19章 力の制御
エルヴィンはフッと笑みを漏らす。
「いや、買いかぶりではないよ。君は十分に魅力的だ・・・とても可愛らしい。」
エルヴィンは爽やかスマイルでサラリと言うと、ユナに近づいて今度は耳元で囁く。
「あのリヴァイが大切にする君には、とてつもなく価値がある・・・」
『え・・・?』
ユナはエルヴィンの顔を見上げる。
『どういう意味ですか?』
怪訝そうに見つめるユナの頬にエルヴィンが手を触れようとした時、
「おい。人の女に手を出すな。エルヴィン、お前に女など、他にいくらでも引く手あまただろう?ユナは俺の女だ。」
リヴァイが団長室にずかずかと入って来て、エルヴィンに背を向け横目で睨み、ユナを抱きしめた。
『リ、リヴァイ!』
団長の前にも関わらず「俺の女」を宣言され、抱きしめられたユナは恥ずかしさのあまり真っ赤になって固まってしまう。
「タイミングが良いな、リヴァイ。しかしノックくらいしてくれないと、私が他の女性との逢瀬の最中なら心外だぞ。」
エルヴィンは悪びれもせずに言う。
「言い訳になってねぇぞ。俺のいない所でもユナに触れるな。」
リヴァイはユナに向き直る。
「今、ハンジの所で聞いてきた。明日から復帰できるそうだな。」
『あ、はい。明日からよろしくお願いします!リヴァイ兵士長。』
「あぁ・・・。なら、今日は休んでおけよ。ハンジの手伝いもするな。」
『え、でも・・・。』
「随分と過保護だな、リヴァイ。」
「うるせぇ。明日から少しずつ始める。体調管理はしっかりやれ。」
リヴァイはユナの頭に優しくポンポンと触れる。
『・・・はい。了解しました。』
ユナはリヴァイのさりげない優しさに嬉しくなり、にっこりと返事をする。
「・・・ここは団長室だぞ。いちゃつくなら余所でやれ。」
『え、あ、すみませんっ!』
「余所でやるならいいんだな。」
リヴァイはユナの手を引いて部屋を出ようとする。
「リヴァイ。ここに来た用件はなんだったんだ?」
「・・・こいつを探しに来ただけだ。」
「ふっ、まったく過保護だな。」
エルヴィンは真顔で答えるリヴァイがおかしくて笑ってしまう。