第19章 力の制御
ユナは前回の壁外調査での怪我も治り、明日から訓練を開始して良いと医師から言われ、ハンジに報告に来ていた。
「やぁ、ユナ!どうだった?」
書類の山から顔を出すハンジにユナは手で丸を作って見せる。
『OK出ました!明日から復帰させていただきます!』
「そうかぁ!良かった~。またよろしく。でも無理はしないように、ね?」
『はい。怪我のあとなので少しずつ始めます。色々とご心配をおかけしましたが、またよろしくお願いします。』
「まぁ、訓練自体の指導はリヴァイが担当だけど、君は我が班の所属である訳だからね。何かあったら頼ってほしい。」
『・・・ありがとうございます、ハンジさん。』
ユナはハンジに頭を下げてお礼を述べる。
そこへ、モブリットがやって来る。
「分隊長、少しははかどりましたか?」
「あ、あぁ・・・ちゃんとやってるよぉ?」
モブリットを見て慌てるハンジ。
「・・・ほとんど進んでないじゃないですか!まったく、療養中のユナが手伝ってくれてなかったら、こんなどころの量じゃなかったんですからね!」
「わかってる、わかってるよぉ。」
ハンジは手元の書類に目を落とし、ペンを動かす。
「ユナ、復帰の許可が出たようで良かった・・・あまり無理しないようにな。何かなくても、分隊長や俺に頼ってくれて構わないから。」
『・・・!はい、お心遣い本当に感謝します。』
ユナは、改めて2人にお礼を述べてハンジの執務室をあとにして、団長室に向かった。
コンコンコン、
『ユナ・スノーベルです。』
「・・・入れ。」
『失礼致します。』
「どうだ、調子は。」
『先程、医務官殿から兵役の復帰の許可をいただきましたので、ここにご報告致します。』
「そうか。それは何よりだ。」
『さっそく明日から訓練を開始します。』
「無理のないよう励んでくれ。君には色々と期待している。」
『・・・はあ。色々、ですか?』
ユナはキョトンとしてエルヴィンを見る。
「あぁ。その戦力、その精神力、これからの兵団には必要なものだ。素直でまっすぐな目も、人を惹き付ける要因だろう。」
『エルヴィン団長は私を買いかぶりなさっておられます。私はまっすぐでもないし、体も心も未熟者です。』