第19章 力の制御
リヴァイ side
俺はエルヴィンから、先日の壁外調査での巨人捕獲作戦についての実態報告などの書類を頼まれ、ここ数日は執務ばかりの仕事漬けだった。
それでも、どんなに忙しくとも朝、昼、夕はユナの様子を見に行っていた。
自室で過ごせるようになったとは言え、不自由はある。
しかし、ハンジが気にかけてくれているのは助かる所だ。
食事の時間になると必ずユナを誘って行き、くだらない巨人の話をしてユナの暇つぶしの相手になっているらしい。
そのハンジから、最近ユナが食事が進まなくなっているようだと話があった。
元々、小食でもなかったが、食事を残すことが多くなったと言う。
俺は、仕事を前倒しで片付け、ユナといるための時間を作ってユナを俺の執務室に連れて来た。
左肩はまだ痛むようだが、今日は昨日より顔色はマシだ。
ソファへ座らせて、テーブルには紅茶を用意した。
『・・・これって、』
「久しぶりに飲め。それから、好きなものを食え。」
昔よく飲んだ紅茶に、好きそうな菓子や果物を並べれば、少し驚いたように眺めているユナ。
『わぁ、すごい。・・・この紅茶、いい香りで私好きなんだ。』
そう言ってカップを手に取るユナ。
『・・・おいしい。』
「そうか。何杯でも入れてやる。好きなだけ飲めばいい。」
『ありがと、リヴァイ。』
ユナは俺に微笑む。
(あぁ、そうだ・・・俺が見たかった顔だ)
『あ、パンケーキがある。・・・おいしい!あ、これは?』
色んな菓子に興味を示し、その中から選んで少しずつ口に運ぶユナに、内心ほっとした自分がいた。
好きな物を食ったりして、気分転換になればと思った。
これをきっかけにちょっとずつでも食べることが遠くならないように、という願望があった。
『ねぇ、リヴァイ。この果物は何?』
「・・・それは俺もよく知らない。店のオヤジにすすめられて買っただけだからな。」
『!これ、甘くておいしいよ。リヴァイも食べてみたら?』
「お前から口移しで食わせてくれるなら、食ってやる。」
『へ?』
ユナは一瞬動きが止まって、頬を染める。
「くっ・・・、冗談だ。」
『・・・ん。』
だが、ユナは果物を咥えて俺に向ける。