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大切な物をタイセツに【進撃の巨人】

第18章 初めての経験


ユナ side

遭遇する巨人を倒していき、エルヴィン団長達と合流する。

どの隊も負傷者が多く、救護班はせわしなく動いている。

エルヴィン団長やハンジさん達は、巨人捕獲作戦を中止と判断し、ウォール・マリアへの帰還命令が下された。

(帰還・・・か、)

私は馬から落ちないように、半ば朦朧としてきている意識をどうにか保っていた。




(あと、少し・・・)

壁が見えてきた。

森や林を抜けて、広い平地になり、他の隊の多くも壁に向かっているのが見えた。

負傷した左肩は、止血はしたものの腫れ上がり、鈍い痛みを発している。

左腕は痺れて力が入らない。


そこに突然、新たに4体の巨人が走って来る。


ドドン、ドドン、ドドン、


「15m級1体、8m級3体!奇行種もいるぞ!」

後方から聞こえてくる兵士の声。

「うわぁぁ!」

どの兵も疲弊しており、突然の遭遇に反応も遅れる。

『・・・っ』

私は後ろを確認し、馬のスピードを緩め、立体機動で巨人へ向かう。

全身と、左腕にも力を込める。

ピキピキと、筋肉がしなる感覚がする。

『・・・まだいける。』

1体の足首の筋を切り、再び舞い上がり目を潰す。

倒れた巨人に近くの兵士達が飛びかかる。

それを尻目に、隣の奇行種にアンカーを刺す。

振り回す手の指を数本切り落とす。

『おっと・・・』

私を捕まえようと、手を伸ばしてくる巨人。

もちろん捕まることはなく、私は回避していく。

しかし、今度は近くにいた兵士を見つけてそちらに向き直る。

戦いの土埃の中で兵士はまだ自分に忍び寄る巨人に気づいていない。

(行かせない!)

私は体をしらなせて飛び上がり、反動をつけて一気にうなじを削ぎ落とした。

倒れていく巨人の方向に数人の兵士がいた。

(このままじゃ、下敷きになっちゃう!)

ガスを調整して、勢いよく巨人の下に滑りこみ、私は兵士を1人引き上げる。

だが、他の2人は埋もれてしまった。

『・・・っ』

初めての壁外で巨人と対峙して、不思議と巨人に対しての恐怖はなかった。

それよりも、目の前で仲間を殺され、なくしていくことの方が、私には何より恐かった。

何もできないでいる自分が恐ろしく許せなかった。

埋もれた兵士を助けようと倒れた巨人を退かそうとしていると、背後に気配がした。


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