第18章 初めての経験
ユナ side
「OK!捕獲開始!」
ハンジさんからも合図があり、私は横に逸れる。
その時、また右翼から複数の信煙弾が上がった。
(複数!しかも黒!)
途端に、ものすごい地鳴りがして横の林の陰から巨人が4体現れた。
後方の奇行種に狙いを定めていたハンジさんは、一瞬躊躇したが、捕獲装置を作動させた。
そこに4体のうち1体が割り込んで行く。
「奇行種です!」
モブリットさんが叫ぶ。
捕獲装置は起動したものの、2体の奇行種の間に当たり、壊れてしまう。
1体だけならば、動きを封じられる想定のものだったのだから、2体には対応できなくて当然だった。
そのまま2体の奇行種は、ハンジさん達に襲いかかった。
「立体機動に移る!」
モブリットさん達は巨人に向かって行く。
私も立体機動で宙を舞い、林から出てきた8m級の巨人に接近する。
バシュッ、バシュッ
(うなじ・・・!)
ザシュッ
(よし・・・まずは1体)
私は初めて本物の巨人のうなじを削いだ。
巨人は悲鳴を上げて地面に倒れ、蒸気を発していく。
ハンジさん達の方を見ると、10m級2体と奇行種2体に苦戦していた。
すると、1人の兵士が体ごと握り潰された。
『・・・!!』
私は思わず体が動いていた。
バシュッバシュッ
アンカーを奇行種に刺して舞い上がる。
私に手を伸ばしてくる巨人。
『遅い』
ザシュッ!ザシュッ!
巨人の返り血が体にかかる。
もう1体・・・
奇行種がまた兵士をつかむ。
私は奇行種の指を切り落とす。
指と共に兵士が地面に落ちていく。
その兵士を地面すれすれでキャッチして、離れた場所で下ろすと、また奇行種へと向かって行く。
(みんなを守らないと・・・!失ってからではダメだ!)
奇行種に苦戦していた兵士の1人が馬ごと巨人の蹴りを食らって吹き飛ばされる。
倒れた先に手を伸ばす巨人。
(間に合って!)
ザシュッ
私は巨人の腕を切り落とした。
続いて、巨人のアキレス腱を切る。
(足止めになるはず)
その隙に、倒れた兵士の馬を引き、すぐに乗るよう声をかけた。
『早く、今のうちに馬へ!』
「ユナ!後ろ!」
ハンジさんが私を呼ぶ。
黒い大きな影が見えた。
巨人の手だと思った時には遅かった。