第18章 初めての経験
ユナ side
翌日、再び巨人捕獲の遠征が開始された。
今日も昨日と同様の編隊で進む。
昨日は、私達ハンジ班は巨人との遭遇はなかった。
ミケさんとゲルガーさん達は捕獲作戦に入ろうと囮を開始するものの、複数の奇行種との遭遇により、作戦は討伐へと切り替えられたそうだ。
今回は奇行種が多かったと、昨日の会議で話があったとハンジさんは言っていた。
そんなハンジさんはというと、
「はぁ~っ!今日こそ捕獲するぞぉ、待ってて巨人ちゃ~ん!今から会いに行くからねぇ~!」
朝からハンジさんはメガネをしてなくても、目がギラギラしていて興奮状態・・・まさに奇行種だった。
『・・・ハンジさん、メガネ落ちそうですよ。』
「おぉ、ありがと~う!」
「分隊長、あなた少し落ち着いてください!」
『モブリットさん、いつもお疲れ様です・・・』
私はハンジさんを宥めるモブリットさんを労う。
進撃してしばらくして、右翼側から信煙弾が複数上がる。
(近い!)
そして後方からも。
「今日は後方ですね。」
モブリットさんは冷静に言う。
「ここから近い。後方の巨人を捕獲目標としたい。」
ハンジさんは言い、私を見る。
私はコクリと頷き、後方の気配に集中した。
ドドン、ドドン、ドン、ドン、
と、地鳴りが近づいて来る。
(・・・来た!)
私達は、馬を走らせながら後ろの巨人を確認する。
(あれが、巨人・・・本当に大きい・・・)
私は初めて目の当たりにする巨人に、しばらく見入ってしまった。
「ユナ!」
モブリットさんが私に合図を出す。
ハンジさんは所定の距離で捕獲装置と共に待機する。
その装置の正面まで、巨人を誘導するのが私の役目だ。
『はい!』
私は巨人の前に出て、馬の走るスピードを調節する。
離れすぎてもダメだし、近すぎてもいけない。
少し震える手で手綱を強く握りしめる。
『こっちだよ~!』
ドドン、ドドン、ドン、
私に向かって走ってくる巨人。
『!』
少し馬のスピードを上げる。
(大丈夫・・・落ち着いてる、自分)
今、私は命をかけている。
これもやはり、人類のため。
「人類」の中には、大切な人達がいる。
(リヴァイ・・・)
私は、捕獲装置の正面へ巨人の誘導に成功し、ハンジさんに合図を送った。