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大切な物をタイセツに【進撃の巨人】

第18章 初めての経験


巨人捕獲作戦開始。

ユナは人生初の壁外へ踏み入ろうとしていた。

『・・・大丈夫。』

服の上から、胸元のペンダントに手を当てて心を落ち着かせる。

前方のエルヴィン団長やリヴァイ達の隊列が位置している方を見ると、ユナからは姿は確認できないが、門が上がり、そろそろ動き出す所だった。

エルヴィン団長の号令で、兵士達は馬を走らせる。

ウォール・マリアの門を抜け、いざ広い大地へ。



ハンジ班。

後方で、ハンジやモブリットと共にユナは隊列を組んで並走している。

馬を駆り、初めての壁外へ出たユナは、壁のない世界と本当の広い空を見上げていた。

『・・・広い・・・。』

近くに、白い鳥が低く飛んできて、まるで一緒に飛んでいるような気さえする。

『わぁ・・・!』

(地下街に迷いこんできた、あの時の鳥みたい・・・)

この白い鳥を見て、ユナは、なぜだか懐かしいと感じていた。


しばらく馬を走らせる。

すると、前方から信煙弾が上がる。

モブリットは方向などを確認すると

「前方右翼に・・・奇行種!」

と、ハンジ班全体へ送る。

すると、前方のエルヴィン団長より、西へ緑色の信煙弾が上がる。

「進路を西へ!」

隊列を維持したまま、馬を西へ走らせていく。



その後も数回、巨人の遭遇を知らせる信煙弾が空へ上がったが、後方のハンジ班は接触することはなかった。



薄暗くなる前に補給地点の夜営地へ到着し、今後の進路などを団長達は確認し合う。

兵達は補給物資の搬入や、夜営準備や荷物の整備に取りかかる。

会議を終えたリヴァイがユナを見つけてやって来る。

「・・・今日は疲れただろう。ずっと馬で駆けて移動だったからな。」

『リヴァイ。』

「・・・どうした。」

ユナは空を見上げていた。

『・・・私、本当は壁外にファーランに会いに来たんだ。』

「・・・!」

『私は、一緒にいなかったから・・・。』

「そうか・・・いや、もしあの時、お前まで巨人に食い殺されていたら、俺は正気を保てず身を滅ぼしただろう。」

ユナは、胸が痛み、リヴァイの手を握る。

『・・・私、ファーランの眠る壁外の大地に来たかったの』

ふわっと風が優しくユナの頬を撫でるように吹いた。




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