第18章 初めての経験
リヴァイ side
今日の目的は巨人の捕獲。
人類初の試みだ。
馬に水をやった後、ウォール・マリアの門の前に並ぶ調査兵団。
俺にとって今までの壁外調査は、ただ巨人を倒すこと。
そう思って、淡々と巨人のうなじを削いでいた。
仲間が次々とやられていき、ツラくもあった。
だが、今日はいつもと違う緊張感がある。
俺の後方にはハンジの班が位置する。
そこにはユナもいる。
今日、初めて壁外へ出て巨人と対峙する。
その時、ユナは何を思うのか・・・。
ハンジは、俺に言った。
「リヴァイ。ユナのこと、今回の作戦にはどうしても必要だったんだ。まだ戦場での彼女の実力を見てはいないけど、日頃の訓練を通して、彼女の能力は高くかっているんだ。我が班としては、この上ない人材だと思っている。君の大切な人だということは重々承知している・・・。彼女のバックアップは全力でするから。どうか私に彼女を任せてほしい。頼む。」
頭を下げて、そう言われて、俺はハンジにユナを託すしかなかった。
ハンジを信用していない訳じゃない。
ユナはもう、俺の一部だ。
永遠に失ってしまったら、俺は息をすることすら出来なくなるだろう。
「・・・大丈夫だ。」
俺は自分に言い聞かせる。
俺の前方にいるエルヴィンが号令の声を上げる。
おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!
(俺の心臓は、ユナに捧げよう)
俺達は、一斉に馬を走らせた。
門を抜けると、1羽の白い鳥が俺の横を羽ばたいていく。
しばらく馬を走らせた所で、並走したまま隊列を整える。
(巨人との遭遇はまだか・・・)
目的は巨人を捕獲することだが、このまま巨人が現れなければいいと、心のどこかで考えている自分がいる。
俺はチラッと後方の隊列に目をやる。
ユナの姿はここからは確認できないが、まだ信煙弾は上がっていない。
「・・・心配性、か。」
夕べのことを思い出し、ここが戦場であるにもかかわらず、口元が少し緩む。
「俺も心配されてちゃ、世話ねぇな。」
呟き、手綱を握り直す。
その時、最初の信煙弾が上がった。
前方右翼。
奇行種だ。
俺は馬を更に走らせた。