第18章 初めての経験
ユナ side
前の壁外調査で、ハンジ班のベテラン勢は負傷しており、回復が思わしくなく、今回は特に人が足りず、新兵から選出することになったのだそうだ。
『・・・リヴァイ兵士長、経験のない私では役不足かもしれませんが、囮の任務を必ず遂行させます。』
「お前には聞いてない。ハンジ、お前は準備もなしに、この作戦に踏み切ろうとしているのか。それでも実行するなら、このパターンはなしだ。」
「いや、このパターンまで入ってないと、作戦の成功率が落ちる。やるからには必ず捕獲を成功させたいんだ!巨人の謎を知らなくては、この状況は変わらないんだ!ユナが新兵なのはわかってる。経験もない。けど、うちの班の誰より適任だと思って決めた。」
「おい、クソメガネ。まだ壁外で巨人を見たこともない兵のどこが適任だと?実力や能力があってもな、巨人と対峙してみなきゃわからねぇこともあるんだ。お前の推測だけで、こいつの命を簡単に巨人の前にぶら下げるな!」
「落ち着け、リヴァイ。」
エルヴィン団長がハンジさんと興奮するリヴァイの間に入る。
他の人達は黙って静観している。
「リヴァイ。お前は調査兵団に身を置くことを、後悔しないと言ったな。ならば信じろ。ハンジを。ユナを。仲間を。」
エルヴィン団長が冷静にリヴァイに投げかける言葉。
それはきっと、リヴァイを複雑な気持ちにさせているだろう。
リヴァイはガタッと席を立ち、一瞬私を見て部屋を出て行ってしまった。
『・・・。』
リヴァイのことが心配になる私。
「リヴァイのことはひとまず、あとで説得しよう。ハンジ、続きを・・・」
エルヴィン団長はハンジさんに作戦の続きを促す。
「あぁ、・・・・」
ハンジさんは気を取り直して説明を始めた。
補足説明も終わり、皆さん退室する中、エルヴィン団長が私の前にやって来る。
「すまないがユナ、リヴァイの所に行ってみてはくれないか?」
『はい、私もそう思っていた所です。ちゃんと話して、説得して来ます。』
私がそう答えると、
「さすが、人類最強の女だな。」
とフッと眉を下げて笑った。
『え?人類最強?』
「いや、なんでもない。頼むよ。」
ニコニコしている団長の横からハンジさんが
「ユナ~!ごめん!私からも。リヴァイの説得、頼んだよ。」