第18章 初めての経験
リヴァイ side
(力のコントロールと言ったか・・・この程度は余裕そうだな)
俺は、昨日のユナの話を思い返した。
俺もいつからか、自分の力の使い方に目ざめた。
その昔、ケニーも言っていた。
ユナも、もし俺やケニーと同様のことができるとしたら・・・だが、ユナは元々体が弱い。
母親の体質を受け継いでしまったとか。
そうなると、俺やケニーのようにはいかないだろう。
どこかで体に負担がかかるということかもしれない。
(壁外では何が起こるかなんて、わかりゃしねえからな・・・)
俺は、ファーランとイザベルを亡くした時の壁外調査を思い出す。
「・・・俺はこの選択を後悔しないと決めたんだ。」
次の壁外調査は、ユナたち新兵にとっては初めての遠征だ。
同じことは繰り返さない。
俺は改めて、そう心に固く誓った。
エルヴィンの元へ書類を渡しに行くと、ミケが来ていた。
「エルヴィン、頼まれてたヤツだ。」
俺は書類を渡し、近くのソファに体を沈める。
「あぁ、ご苦労だったな。」
「まったくだ。」
すると、ミケが俺のにおいを嗅いできた。
スンスン・・・・
「っ・・・やめろ。今更なんだ?」
こいつが俺のにおいを嗅ぐなんて珍しい。
ミケは考える素振りをして、
「女か・・・」
とボソッと口にする。
「リヴァイ、慎めと言ったと思うが?もうユナに手を出したのか?」
エルヴィンが書類を眺めていた視線を俺に向ける。
「これでも慎んでいるつもりだ。ユナに休むなと言われて真面目に勤務している。」
「ほぅ、それは良かった。ユナの言うことには逆らえないのか?人類最強の男の行動を左右するとは、ユナは人類最強の女だな。」
ははっ、と爽やかに笑ってサラッと言うエルヴィン。
「・・・彼女も地下街で一緒に暮らした仲間、なのか?」
ふと、エルヴィンが問う。
「・・・あぁ。」
「そうか。ならば気を引き締めないとな、リヴァイ兵士長。」
「わかっている。」
エルヴィンは、俺がファーラン達を守れず、後悔しかけたことを言いたいのだろう。
結果、調査兵団に身を置いたが、今ではここにいることに意味を見いだしている。
尚更、次の壁外調査でユナを失う訳にはいかない。